「徐行」「緊急」の標識が読めない? 安易な《外国人トラックドライバー》の導入は“あまりに危険”であることを裏付ける「2つのリスク」
道路標識に書いてある案内や地名も、英語やローマ字が併記されていなければ意味を理解できないはずだ。その場の交通ルールや地理を把握しないまま運転していることに他ならず、あまりに危ういと言わざるをえない。
大手であれば、最新のAI機器を活用して、こうした言葉のカベを克服できる可能性はある。しかし中小トラック業者は、いまだにファックスでやり取りしている会社も少なくない。こうした現状をふまえると、業界全体にIT化が浸透するのはまだ先であり、当面ほとんどの会社は言葉のカベをやぶれないだろう。まずは本人に、仕事に必要な漢字を覚えてもらう必要がある。
会話力の面でも、N4レベルでは心もとない。事故やトラブルが起こったときに、N4レベルの外国人材が1人で臨機応変に対応できるとは思えない。
荷主とのコミュニケーションにおいても然りだ。トラックドライバーはお客様である荷主から、さまざまな無理難題を言われるという。契約に含まれていない仕事や、違法な過積載や路駐を強要されることも多いとも聞く。
当然ながら、うまく要求を断らなければならないケースも出てくる。だが、こうした上下関係をふまえた駆け引きを、N4レベルの外国人材が行うのはまずムリだろう。
調整や交渉を伴う業務を、N4レベルの外国人材が1人でこなすことはできない。これが結論だ。実務に即した日本語教育を相当やらなければ、トラックドライバーとして独り立ちさせるのは難しいだろう。
人手不足の中小トラック業者に教育ができるのか
このように、外国人材をトラックドライバーとして活用するには、免許を取らせた後も教育すべきことがたくさんある。日本人と同じ初任運転者研修を受講させたくらいでは、教育が完了したとは言えないのだ。
このあたりの問題点について、大手物流会社の元幹部社員のAさんに話を聞いた。
「大手は、もちろんしっかり教育すると思いますよ。トラックドライバーは文字どおり、会社の名前を背負って運転するわけですから。事故リスクの高いドライバーを、路上に出すわけにはいきません。ただ、中小トラック業者の中には、そんな余裕のない会社が多くあります。なかには見切り発車をしてしまうところも、出てくるのではないでしょうか」
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