「徐行」「緊急」の標識が読めない? 安易な《外国人トラックドライバー》の導入は“あまりに危険”であることを裏付ける「2つのリスク」
ただ、自動車運送業を他業種と同じように考えるべきではない。業務の性質上、「2つのリスク」が避けられないからである。
・判断ミスが、第三者の人命を奪うおそれがある点
これまで他業種において、日本語能力が低くて日本文化に不慣れな外国人でも受け入れてきたのは、周りの日本人がサポートできるという前提があったからだ。だが自動車運送業には、この前提が当てはまらない。管理の目が行き届かず、本人の判断に委ねざるをえない場面が多い。
そして、本人が判断を少しでも間違えてしまうと、最悪の場合は第三者の人命を奪うことになる。そうなれば多額の賠償責任を負うだけでなく、場合によっては事業継続が困難になることもある。他業種と比べて危険性が際立っており、会社が背負うリスクは格段に大きいのだ。
この点、いまは免許取得のハードルばかりに目が向けられている印象を受ける。だが、問題の本質はそこではない。本当に懸念すべきは、外国人材を受け入れ、免許を取得させた後の段階にある。
交通文化への適応には時間がかかる
最も懸念されるのが、交通ルールや運転慣習の違いからミスを犯してしまう点だ。これに関して筆者は、以前も本サイトで記事を書いているのでご参照いただきたい。
交通文化の違いに関して、日本で免許を取得したばかりのベトナム人にあらためて話を聞いた。彼は日本に来る前に、母国で5年以上の運転経験があるという。
「ベトナムは右側通行なので、人やバイクがいないか確認するとき、いまでもたまに反対側のミラーを見てしまうことがあります。あとベトナムで運転していたときのクセで、つい前の車に近づいてしまい、ぶつかりそうになることがあります。体に染みついた感覚は、なかなか抜けないものですね」
たとえ母国で豊富な運転経験があっても、交通ルールや運転慣習が違えば、ミスを犯す可能性は十分にある。むしろその経験が、日本で運転するときにアダとなることもある。事故を起こさないためには、日本の交通文化に慣れることが、何より重要なのだ。
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