「いくら蹴っても壊れない」「俺の気持ちに火をつけてくれた」…髙田と天龍が共鳴した"トップの覚悟"
──ホテル側のレフェリーストップでドローになりましたか(笑)。
天龍 あの時は、ホントによく飲んだね。
──では、お二人の出会いからうかがいたいんですけど、96年に一騎打ちを行うまで、接点はあったんですか?
髙田 いっさいなかったです。テレビで輪島(大士)さんやジャンボ鶴田さんと闘う天龍さんの試合を観るくらいで。団体は違えど、すごいプロレスラーがいるな、と。新日本プロレスの移動バス内で、全日本の試合を観るようになったのは、あの頃からですよ。天龍さんと輪島さん絡みの試合は、みんな観てましたからね。
──それまでの新日本は「全日本なんて」っていう意識が強かったんですか?
髙田 う~ん、先頭に立ってる猪木さんが、馬場さんを敵対視というか、意識してるのは我々にも浸透してたから、そういうエッセンスみたいなのはあったかもしれないね。
天龍 『東京スポーツ』のプロレス大賞授賞式で、食い物が並んだテーブルを境に、全日本と新日本がキレイに右と左に分かれてたからね。ホントに一言もしゃべらなかったし。
──そこまでの緊張関係って、いまとなっては信じられないですね。
天龍 今の落語家かプロレスラーかわからないようなヤツらには信じられないんじゃないの?(笑)。今のレスラーは如才ないからね。うまくコミュニケーション取ってさ。
「カッコいいレスラーが出てきたな」
──天龍さんは髙田さんをどのようにご覧になられていました?
天龍 僕が最初に覚えてるのは、髙田選手がまだ新人時代に猪木さんのセコンドとしてガウンを受け取ってる姿だね。ビシッと姿勢よく猪木さんの後ろに従って、いい教育受けてるなって。
当時の全日本は、ダラッとした雰囲気だったからさ(笑)。そのあとは、髙田選手がテレビに出始めた頃、カッコいいレスラーが出てきたな、という印象でしたね。
髙田 ご本人を目の前にして言うのもアレですけど、天龍さんっていうのは自分の空気感や香りを持っていて。会場全体をその香りで支配しちゃう、独特のものを持ってるんだよね。