「通勤時間が大幅に短縮」「渋滞もないし、景観も最高!」 東京都が密かに推進する「船通勤」、実際に乗って感じた“意外な魅力”
分譲マンション17棟と賃貸マンション4棟、商業施設1棟が立ち並ぶ晴海フラッグには、鉄道が到達していない。
新橋方面は東京BRT(バス)、東京駅方面には都営バス(都05-01系統など)」で移動できるが、隅田川河口の向こうにある日の出・田町や、複合オフィス「ブルーフロント芝浦」といった港区のビジネス街には、新橋経由で5km以上も大回りする必要がある。



しかし、海を突っ切ってしまえば、対岸への到達などあっという間だ。
晴海~日の出間の航路に就航する小型船「エスエス3世」は、晴海フラッグ北側の「マルチモビリティステーション」(複合的な交通広場)に併設された「晴海5丁目桟橋」と対岸をたった5分で結ぶ。
これが陸地移動なら、東京BRT⇔ゆりかもめの乗り継ぎで、30分は余裕でかかってしまうところだ。
なお、2024年5月14日から運航を開始するという3航路目の天王洲~五反田間は、ほとんどの区間で目黒川を通るため、春には船から見事な桜並木を眺めることができるだろう。
それでも伸び悩む船通勤、いったいなぜ?
絶景を眺めながらゆったり移動できる「船通勤」だが、就航している2航路は、現状で「1便の利用者が数名~十数名」といい、通勤利用者をほとんど見かけない。
なお、2022年には6航路を期間限定で就航させたものの、利用者は「14日間で2848人」。マイクロバスやジャンボタクシーで運び切れる程度であった……鉄道・バスに次ぐ第3の通勤手段として船を定着させるには、利用状況があまりにも寂しい状況だ。
東京都が普及させようとしている「船通勤」は、なぜ伸び悩んでいるのか。そして東京都は、なぜ川や海での「船の維持」にこだわるのだろうか。
続く後編記事ー「通勤時間を超短縮」「乗り心地も最高!」…なのに全然利用されてない「東京都"推奨"の船通勤」。お役所ならではすぎる、その理由とは?ーでは、「船通勤」が伸び悩む事情について、深掘りして解説していきたい。
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