地方の進学校から東京の私大を受験、娘の夢を叶えるために奔走した母親の回顧。現役合格を目指して22回受験、SNSに不安を吐露

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高校生と母親
子どもの大学受験サポートに奔走した母親から話を聞きました(画像:mits / PIXTA)
少子化により、大学進学希望者の大半がいずれかの大学に進学できる時代となりました。ですが、誰もが志望校の合格を手にできるわけではありません。大学進学を希望する高校卒業者の割合は上昇していて、特に偏差値上位校やブランド力のある大学を目指す競争は厳しいまま。
さらに入試制度は複雑化し、保護者にも情報収集と戦略立案が求められるようになっています。受験にかかる費用負担も重く、子どもの志望校合格を支えようと奔走する保護者の現実は、かえって過酷さを増しているのではないでしょうか。
そこで連載「中学受験のリアル」を担当した宮本さおりさんが、その先に待ち受ける「大学受験のリアル」に迫るのが本連載。保護者世代とは異なる現代の大学入試について、親子の体験談から描き出していきます。

保護者の後悔

2月半ば、SNSにこんな書き込みが上がった。

娘の大学入試。
なかなか桜が咲きません。
(中略)
私がもっと賢い母さんだったら良かったのか。
あのとき指定校推薦でいこうと娘を説得していれば良かったのか。
あのとき早めに英検の級をあげるよう声をかけていれば良かったのか。
もっとできることがあったのではないかと、たら、れば、の後悔ばかりです。

母親は、どんな思いでこの文章を綴ったのか。

北海道で暮らす本田家(仮名)の娘マユミさんは大学進学を希望し、高校受験で公立の進学校に合格した。北海道大学をはじめ国公立志望者が多いのはもちろん、東京の有名私立大学や医学部などへの合格実績もある、地域一番手の高校だった。

入学後すぐの保護者会でこんな話がされたという。

「学校の宿題もかなり出ますので、塾などに通うことは推奨していません」(教員)

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説明の通り、確かに宿題は多かった。だがそもそも、この地域には大学受験に対応する大手の予備校は東進衛星予備校しかない。講師が対面で教えてくれるのは個人経営の塾ぐらいだから、教員の言葉にも納得感はあった。

そんな中、マユミさんには他の同級生と比べると恵まれている点があった。それは母方の祖父母が首都圏の、東京都内へすぐに出られるエリアに住んでいることなどだ。

母親は高校から都内の学校へ通い東京の私立大学に進学。結婚後、夫の地元である北海道で暮らすことになったが、食系の資格を持っておりバリバリと働いている。そんな母親の背中を見て育ったマユミさんは、母のように食にまつわる仕事がしたいと考えるようになっていた。

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