全盛期は200店舗超→現在56店舗「焼肉屋さかい」が20年で”大幅縮小”した理由とは?焼肉業界は倒産件数”過去最多”で《冬の時代》

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豚トロ。公式サイトでは759円(写真:筆者撮影)

焼肉屋さかいに限らず、焼肉業界は冬の時代真っ只中。帝国データバンクによると、2024年度における焼肉店経営業者の倒産(法的整理で負債1000万円以上)が過去最多となっている。

肉の仕入れ費や人件費の高騰が響き、資本が潤沢でない小規模業者が、事実上の撤退を強いられていることが背景にあるという。

焼肉チェーン全体の店舗数は、2023年7月から2024年7月にかけて、2930→2865と減少傾向に。店舗数の上位10社を見れば、1位の牛角が571→520(-8.9%)、4位の安楽亭が153→141(-7.8%)、5位の牛繁が148→137(-7.4%)、コロナ禍前後での急展開が記憶に新しい焼肉ライクも94→84(-10.6%)と翳りを見せる。(*日本ソフト販売調べ)

生き残りをかけ競争が激化している焼肉業界において、焼肉屋さかいは在りし日の輝きを取り戻すことができるのか。焼肉屋さかいを展開する、焼肉坂井ホールディングス焼肉部門事業部長の漆間公一氏に話を聞いた。

かつては「賃料月200万円」も厭わなかったが…

「このご時世で大型の焼肉店を新規出店するのは現実的ではない」と漆間さんは正直な現状を語る。

「焼肉屋さかいの場合、コロナ以前と現在を比較すると、最低賃金の上昇により人件費は2%以上、原価率も1.5~2%、水光熱費も1%近く上昇しています。

現在の平均的な収支内訳は、売上を100%とした場合、人件費が28%、原価率が37%、賃料が最大10%、水光熱費が5~6%、そのほか販促費や管理費が重なり、純利益が15%前後です。これは直営のケースで、フランチャイズであれば、さらにロイヤリティが3%ほど引かれる計算です。

嵩む運営コストを抑えるため、現在は賃料が売上10%を超えないよう徹底。かつては売上の15~20%に値する、賃料月200万円近い物件も厭わず出店していましたが、物件選びも慎重になりました。

加えて人材確保も難航する状況で、新規出店に叶う条件が整いづらい状況になっている。店舗の平均規模も、最盛期は約100坪だったのが、今は80坪ほどに収まっています。今後は少数精鋭で店舗を回す設計にしないと、競合関係なく採算が取りづらいと感じています」

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