全盛期は200店舗超→現在56店舗「焼肉屋さかい」が20年で”大幅縮小”した理由とは?焼肉業界は倒産件数”過去最多”で《冬の時代》

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縮小

焼肉店は、他業態と比べても初期投資が嵩む。新規出店の場合、排気ダクトや換気扇、脱臭装置の設備周りや、テーブル毎に設置するロースターは必須だ。立地次第だが、100席以上の大箱であれば、開業投資は1億円を下らないだろう。そこに人材不足の懸念も重なれば、小回りの効く店舗設計が求められる。

消費者の財布の紐が硬くなることも加味すれば、リスクは取りづらい時代だ。焼肉屋さかいでは、最盛期の2000年前後で客単価2500円前後だったが、現在は約3000円となっている。お酒を飲む成人男性であれば、もう少し高くつくはずだ。

多々、要因を鑑みれば、国内でいちから焼肉店を出店するのは厳しく、昨今の焼肉チェーンが微減する状況も納得できる。

厚切りカルビ。公式サイトで公式サイトでは税込605円(写真:筆者撮影)

ランチメニュー1種類で効率化

そこで代わりに、漆間氏が、今後台頭していくと見るのが「食事目的の焼肉」、いわばノンアルでも楽しめる業態だ。焼肉といえば、アラカルトや食べ放題で様々な部位を楽しむのが通例だが、近年は看板メニューに特化したブランドが目立つようになったと話す。

「業界全体で見れば、女性客に好評のサムギョプサルや、ハンバーグを米とセットで出すような、コンセプトのあるお店が増えました。弊社の場合だと、ジンギスカンに特化した業態や、鳥を濃い味噌味で提供する“鶏焼肉”は、今後ニーズがあると考えている。

いわゆるオーソドックスな焼肉店が3000~4000円する中、物価高が続くご時世もあり、3000円を超えると来店のハードルが高くなる。それであれば焼肉業態でも、ランチ需要を含め、米と合わせた定食を強化して、客単価を抑えて日常使いしてもらった方が採算も取りやすい。営業もランチから始めて、夜は平日22~23時でクローズする方が、特に客足の鈍い地方では効率が良いと感じています」

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