1962年の都市計画道路の整備が急に動き出した謎 かろうじて復活した自然生態系に道路建設が迫る



よみがえった自然のど真ん中に、都市計画道路建設の槌音が近づく
9年前の2016年、はけ、野川、都立武蔵野公園一帯を揺るがす道路問題が浮上した。63年前に都市計画決定された2つの道路が、都策定の「都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)」で、優先整備路線として選定されたのだ。
2路線は、はけの道や野川を東西に横切る「3・4・1号線」(幅16m、延長2060m)とはけの道、野川、都立武蔵野公園を南北に縦断する「3・4・11号線」(幅18m、延長830m)。
これを受けて反対運動が盛り上がり、陳情・請願の数々が市議会に出された。小金井市議会は「計画の見直しを求める意見書」(2016年)、「見直しと誠意ある対応を求める意見書」(2019年)をはじめ、都主催の意見交換会の改善や都と市民の協議の場を求めるものも含め、計12本の都知事あての意見書を提出した。
白井亨(とおる)市長は市議時代(2013〜2022年)にこうした意見書の可決・提出をリード。2022年10月の市長選には、「都市計画道路は中止・見直しを!」の公約を掲げた。初登庁の日に2路線の中止・見直しの要望書提出に向けて準備するよう、担当部長に指示。2024年度の施政方針演説でも、「東京都に対し事業化の中止を求める要望書を提出するなど、適切に対処していきたい」と述べた。
一方、市は2路線について必要性、合理性の検証を行い、2025年2月、検証の報告書を市議会建設委員会に報告。「3・4・11号線」については、市内27の未着手路線・区間中、必要性は1位と高いが、景観、動植物、自然再生事業、コミュニティへの影響が指摘された。
2月17日、市長は検証報告を踏まえた「私の総合判断」を市議会本会議で報告し、「3・4・11号線」について建設容認に転じたことを明らかにした。「3・4・1号線」については、「事業化の手続きをいったん中止することが妥当」とした。
ところが、市長の「総合判断」に名前を挙げて引用された専門家が引用の誤りと手続き上の問題を指摘する文書を市議会議員と関係職員に配布。3月4日、市長は総合判断の撤回を議会に申し出て、承認された。
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