自動車に代表される製造業の競争戦略はどうあるべきか リアルタイムデータと生成AIで競争優位を確立する方法

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(2)フュージョンサービス:製品から顧客オペレーションへのサービス拡大

「フュージョンプロダクト」の整備と展開の後は、より多くの顧客価値を提供することを考えなければなりません。その方向の一つが「フュージョンサービス」です。単なる製品の販売で終わるのではなく、顧客の業務オペレーションにまで踏み込んで、課題解決のサービスを提供します。

たとえば、大型機械メーカーが施設内での機械の稼働状況を24時間遠隔監視し、得られた運転データから機械の寿命診断や予防保全を行う解析サービスなどが挙げられるでしょう。

(3)フュージョンシステム:異なる製品との統合

もうひとつの方向が、自社製品と他社製品との接続を通じて、よりデータグラフを充実させる「フュージョンシステム」です。

たとえば、プラント制御機器メーカーが、自社製品と他社製品を一つのプラットフォームで統合し、生産ライン全体の稼働効率を最大化する仕組みを構築する取り組みなどが挙げられます。

日本企業の多くに共通する課題

(4)フュージョンソリューション:エコシステムによる価値共創

フュージョンストラテジーで最終的に目指すべき領域は、複数企業がエコシステムを構築して顧客に対して包括的なアプローチで課題解決を支援する『フュージョンソリューション』です。しかし現時点では技術面や利用面での課題が多く、日本企業の多くが『フュージョンソリューション』と呼べるサービスレベルには達していないと考えています。

その一方で、テスラのように、自動車という物理的な製品を中心としながらも、走行データや充電データを活用し、最適化された保険商品の提供やエネルギー管理との連携といった複合的なサービスを展開する企業も登場しています。このような差が生まれる背景には、どのような戦略的な要素が関わっているのでしょうか。

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