悩み相談は百害あって一利なし?人間関係を壊す「相談する人」「される人」の陥りがちな残念な思考回路

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「この人形があると、安心できるよね」。私がそう語りかけると、お子さんはニッコリと微笑んで、それ以来、人の顔に人形を押し付ける行動を取らなくなりました。

自閉症の子どもにとって、人との接触は恐怖の対象になりますから、人形を押し付ける行為には、「お互いにリラックスしましょうね」という思いや、願いが込められていたのです。

人間の行動には、必ず何らかの意図が伴いますが、それを他人が理解するのは至難の業です。

人に相談することも同じで、相談される側が相手の意図を見抜くことが難しいだけでなく、相談する側の本人にも、それがわかっていないことも珍しくないのです。人に相談するという行為を、軽く考えるのは禁物です。本当は想像以上に複雑で、思っているよりも難しいものなのです。

第三者にアドバイスを求めない

自分の悩みや困りごとは、人に相談する前に、もっと自分自身と向き合った方がいい……と考える人もいるでしょうが、自分と向き合っても、意外と解決の糸口は見つからないものです。自分と向き合って見つかるくらいならば、誰もが悟りを開いているはずです。

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世の中には、「第三者に相談する人は、最初から自分の中に答えがある」という考え方もありますが、これは半分が正解で、もう半分が不正解です。

正確に表現するならば、自分の中に答えはあるが、それが言語化できていない状態……ということになります。言語化できていないため、それを自分で認識できないから、第三者にアドバイスを求めたくなるのです。

ここで大事なのは、「自分の中に答えがあり、第三者の中には答えがない」という事実をしっかりと認識することです。

自分の中にある答えを、人から引き出そうとしてもムリがあります。そんなムリなことをするから、頭が余計にグチャグチャになってしまうのです。

解決を急いで第三者に相談してしまうと、「わかってもらいたいけど、わかってもらえない」という感情に陥って、ネガティブな方向に気持ちが向かってしまいます。真面目な人であればあるほど、視野狭窄が起こって、メンタルを痛めたり、精神的に病むことになるのです。

大嶋 信頼 心理カウンセラー 株式会社インサイト・カウンセリング代表取締役

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おおしま のぶより / Nobuyori Oshima

米国・私立アズベリー大学心理学部心理学科卒業。FAP療法(Free from Anxiety Program不安からの解放プログラム)を開発し、トラウマのみならず幅広い症例のカウンセリングを行っている。アルコール依存症専門病院、東京都精神医学総合研究所等で、依存症に関する対応を学ぶ。人間関係のしがらみから解放され自由に生きるための方法を追究し、多くの症例を治療している。カウンセリング歴31年、臨床経験のべ10万件以上。著書にベストセラー『「いつも誰かに振り回される」が一瞬で変わる方法』(すばる舎)のほか、『無意識さん、催眠を教えて』(光文社)など多数。

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