実は米国で好調「喜多方ラーメン坂内」の凄い戦略。あっさり系ラーメンでも「駐在員や日本人はターゲットにしない」”深い理由”とは?

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「インバウンド戦略はゼロ」の理由

ところで、坂内は、国内のインバウンド集客ではどんな戦略をとっているのだろうか。聞いてみたところ、「それなりに来てはいただいていますが、特に集客はしていません」とすげなく返された。

観光客ばかりになると常連が来られなくなるため、常連を優先しての施策だそうだ。最低限のマナーとして英語のメニューは用意しているが、海外向けサイトなどへの掲載はしていない。

しかし、考えて見れば、坂内は海外でも地元客を相手に商売をしている。そこは共通しているのかもしれない。

ただし、集客施策を行わなくても自然にインバウンド客が訪れる特殊な立地もある。大阪・日本橋と新宿の思い出横丁にある坂内はまさにそれで、気がつけば、エリア自体が外国人ばかりになってしまったそうだ。このため、客の3、4割をインバウンドが占める。それ以外の店は、インバウンド比率は1~2%程度とかなり低い。

喜多方ラーメン坂内 なんば日本橋店
なんば日本橋店。インバウンドが闊歩する電気街の中心にある(写真提供:株式会社麺食)

残りはすべて日本人客で、1歳から70代まで幅広い層が訪れている。最も来店頻度の高い客の年齢は、なんと80歳。彼は来店するとポイントがたまる公式アプリ『坂内モバイル倶楽部』において、2年連続で「レジェンド」と呼ばれる最高ランクの称号を獲得している。バスに乗って、年間で250回以上来店し、入れ歯を外してラーメンを楽しんでいるそうだ。

喜多方ラーメン坂内 中原社長
「レジェンド」である80歳の超常連客「かいご かいご」さん(中央)と中原社長(左)(写真提供:株式会社麺食)

この年齢の幅こそが、坂内の強みなのだろう。後編の記事ー「呑んだ後に最高」「80代のおじいちゃんも完食する」…店舗数を増やす「喜多方ラーメン坂内」。優しい味に隠された"攻めの戦略"が凄かったでは、坂内の「大人から子どもまで愛される」戦略について紹介する。

笹間 聖子 フリーライター・編集者

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ささま・せいこ / Seiko Sasama

フリーライター、時々編集者。おもなジャンルはホテルビジネス、幼児教育、企業ストーリー。編集プロダクション2社を経て2019年に独立。ホテル業界専門誌で16年間執筆を続けており、ホテルと経営者の取材経験多数。「週刊ホテルレストラン」「ダイヤモンド・チェーンストアオンライン」「FQ Kids」などで執筆。企業のnote発信サポーター、ブックライターとしても活動。大阪在住。

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