これを受けて坂内が出店した2014年当時は、ラーメンがアメリカ全土である程度周知され、その裾野が広がっていくフェーズだったそうだ。そこで、「ラーメン偏差値」でアメリカを見てみると、カリフォルニア州ロサンゼルス周辺が高く、多種多様なラーメン店が群雄割拠していた。
だからこそ、「坂内のようなあっさり系ラーメンにも十分にチャンスがある」と考えたという。

「でも当初は、『あっさりしたラーメンは流行らない』と止められたんですよ」と中原社長は明かす。しかし蓋を開けると大賑わいとなった。濃いラーメンが流行った後だからこそ、高齢者や子どもでも食べられる、あっさりとしたラーメンが求められていたのだ。欧米人でも年をとってくると、油っこいものが食べられなくなるのは同じだった。
現在は、初出店から10年が経過したタイミングだ。西海岸で6店舗、中西部で2店舗、合計8店舗を展開するまでになった坂内は、都心の店だとビジネスマンに、郊外だとファミリーや高齢者を中心に愛されている。
ただし近年は、西海岸でもラーメン店、それもこってり系はかなり普及して、集客力が落ちてきている部分もある。だから、今後進出する立地にはかなり慎重だ。一歩間違えると、「特別感がない」と感じられて人が集まらない可能性がある。

では、単純にラーメン店が少ないところを狙えばいいかというと、そうでもない。少なすぎると偏差値が低く、ラーメン自体が受け入れられない。「ラーメン偏差値がある程度高い人がいる」「これから偏差値が上がってきそうな」エリアを狙っていくフェーズにあるそうだ。
現地に住む人をメインターゲットに
「いずれにせよ、人づての言葉やメディアに惑わされずに、1次情報をきちんととって出店するのが大事です。海外における流行や食の常識は、2~3年で変わっていきますから」と中原社長は警鐘を鳴らす。
実際、昔は「欧米人は行列に並ばない」といわれたが、今は人気のラーメン店には行列ができる。好まれないといわれていた海苔も食べられるようになっている。

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