実は米国で好調「喜多方ラーメン坂内」の凄い戦略。あっさり系ラーメンでも「駐在員や日本人はターゲットにしない」”深い理由”とは?

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調べてみると、全国に69店舗を展開しており、アメリカに8店舗、2025年にはドイツ・フランクフルトにも出店している。

喜多方ラーメン坂内 
定番の喜多方ラーメン870円(税込み)。チャーシュー5枚載せがうれしい(写真提供:株式会社麺食)

あのあっさりラーメンが、「こってり系が好まれる」と噂に聞く欧米で……? いったいどんな戦略があるのだろうか。

同チェーンを経営する株式会社 麺食 中原誠社長に取材を申し込んだ。

「ラーメン偏差値」で考える欧米市場の狙いどころ

取材の冒頭、「欧米は、こってりとんこつラーメンが流行しているんじゃないんですか?」と尋ねると、「そんなふうに思っている人が多いのですが、そのくくりは雑すぎます」と苦笑いが返ってきた。アメリカもヨーロッパも、国や地域によって、流行するラーメンには大きく差があるそうだ。

そんななかであっさり系ラーメンの坂内は、アメリカでは西海岸、カリフォルニア州を中心に展開している。理由は、「ラーメン偏差値が高いから」だ。

喜多方ラーメン坂内 ファウンテンバレー店
地元客でにぎわう、カリフォルニア州ファウンテンバレー店(写真提供:株式会社麺食)

「ラーメン偏差値が高い」とは、坂内で使われている造語で、「ラーメンをたくさん食べて詳しい人が多い」状態を指す。

食べ物の真のおいしさは、経験を重ね、比較対象ができてこそわかっていくものだ。だから経験値の多い人を「偏差値が高い」と表現しているのだ。そして、偏差値が上がれば上がるほど、味の広がりや高レベルを求める傾向が出てくる。

この「ラーメン偏差値」が、アメリカではかなりムラがあるのだという。

そもそも、アメリカで日本のラーメンが広がったのは、1900年代後半から2000年代初頭だといわれている。

最初は、スパイシー味噌ラーメンが流行って定着していった。さらに2008年、『一風堂』がマンハッタンのイーストビレッジにアメリカ1号店を出店。とんでもない行列ができて、とんこつラーメンブームを牽引した。

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