「書店は来店頻度が高く、スーパーマーケットやドラッグストアに続いて、立ち寄りやすい、ハードルの低い場所だと思います。本で刺激を受けた方が健康になりたいとか、ゴルフがうまくなりたいとか、そういう欲求の先に行動が起こると思う。書店とステップゴルフが掛け合わされば、未経験者がゴルフをするきっかけを生む」(鎌浦CX社長)

まだまだハードルが高いとみられているゴルフ練習場やゴルフスクール。その入り口が書店となり、老若男女問わず、書店に来た人に興味を持ってもらう。逆に、ゴルフをやっている人が練習に来て本を手に取っていく。それがイメージできる協業の形ということになる。
協業の第1段階として、ステップゴルフの既存の2店舗をTSUTAYAが譲り受けて運営していく。その中でノウハウを培い、課題などを解決していき、「TSUTAYAさんの店舗の中にステップゴルフを導入する際のロールモデルにしていく」(榎本ステップゴルフ社長)という。
その後は「スペース的にTSUTAYAのほうが平均300坪とか400坪とか広いですから、その中にステップゴルフを入れていくほうが早いのかなと思います」(鎌浦CX社長)と、協業する店舗を増やしていく予定だ。併設に当たっては前述した「天井の高さ」が生きてくるだろう。
また、両社が行っているイベントを利用して「地域のコミュニティの形成」にも力を入れていくという。ステップゴルフは、主にインドア練習場、ゴルフスクールの会員を対象としたラウンドレッスンで年間約1万人が参加している。
「ゴルフコースの使い方もゴルフをするためだけではなく、健康寿命延伸に結び付くように柔軟に考えたい。例えば貸し切りにしてゴルフをしないご家族を連れてきてヨガとか、ピクニックやハイキングなどゴルフ以外の運動をできる空間にしていく。
共感していただければ、ステップゴルフに入会していないTSUTAYAのお客さんを連れていくイベントを作って、店舗展開だけではなくウェルビーイングに貢献できるようになるのでは」と榎本ステップゴルフ社長は話す。
鎌浦CX社長も「私たちはコミュニティ書店を標榜していて、作家がサイン会やトークショーなどでリアルにユーザーとコミュニケーションを取ってもらうイベントを、大小年1万回ぐらいやっています。
ステップゴルフさんでも、店舗で友達同士になった方とラウンドレッスンをすることで、新しいコミュニティを形成している。ゴルフを誰かとやって楽しいというのが、すごく心のウェルビーイングに貢献することだと思う。そこに我々も入っていきたい」と話した。
こうした「地域のコミュニティの形成」や「健康寿命延伸への取り組み」も、ゴルフ界にとってはゴルフ人口をキープ、増加させる大きな要素になるとみられている。
2027年末までに100店舗が目標
走り出したばかりで、まだ具体的な成果は上がっていないが、当面の協業の数値目標は「2027年末に100店舗を目指しています」(鎌浦CX社長)という。
高齢者の免許返納や若者の車離れ、シミュレーターのアップグレードなどもあって、公共交通の便がよく、コースを歩かなくていい街中のインドア練習場の需要が高まってきている。そこに、書店と一体になったインドア練習場とスクールが加われば、ゴルファーの選択肢も増える。
ゴルフ界としては、ゴルフに興味を持っている、ゴルフを使って何かできるのではないかと思っている異業種が存在していることが重要で、他にも手を組みたい企業があるかもしれない。
異業種協業がゴルフ業界活性化へ向けて、1つの突破口になる可能性を秘めていることは確かだ。
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