さよなら「一般職」、生保・銀行最大手で相次ぎ廃止-賃金格差是正へ

日本生命保険の中倉京美氏は1984年、高校を卒業して同社に入社した。配属された支社では、上司や同僚の湯飲みを覚えてお茶を出し、終業時にはそれを洗うのが日課だった。
彼女の入社時の職種は「一般職」。事務や補助的な業務が多く、全国転勤がない代わりに企業の中核業務を担う「総合職」に比べて給与水準は低く抑えられていた。女性が大半を占めるこの職種は、徐々に業務を拡大し名称を変えながらも区分としては残ってきた。しかし、この春大きな転機を迎えている。
コース別人事を廃止
保険最大手の日本生命と銀行最大手の三菱UFJ銀行は3月から4月にかけて、「一般職」、「総合職」相当職種についてコース別人事を廃止し、新たな職種に一本化した。一般職の就職先として人気の高かった生保と銀行の業界最大手が廃止を決めたことで、他業界も含めて同様の流れが加速する可能性もある。
両社の動きは、男女間の賃金格差の是正に取り組む政府の方針と軌を一にする。官邸の肝いりで昨年4月に設置された働く女性の活躍を推進する作業部会では、金融・保険業や航空運輸業、小売業など5業種を特に男女間賃金格差が大きい問題産業として名指しした。