さよなら「一般職」、生保・銀行最大手で相次ぎ廃止-賃金格差是正へ
日本生命の中村吉隆常務(人事担当)も、これまでどうしても無意識の先入観があり「職種や性別による分業の意識があった」とみる。
職種統合後に、それまで一般職だった社員のキャリアアップをどう支援するかなど課題も多い。三菱UFJ銀の上場氏は、IT化で単純な事務作業や銀行の窓口業務に対するニーズは減少しており「かつてないスピードで業務の在り方が変容している。私たち自身も変わっていかないといけない」と危機感を示す。
ニッセイ基礎研の坊氏は、職種を統合しても、一般職で長く働き続けてきた女性と総合職従業員とのキャリアの差は非常に大きく「手遅れと思わず、彼女たちのキャリアを強化していくことが非常に重要だ」と指摘する。21世紀職業財団の調査では、「単純作業の繰り返しで何のキャリアにもならない(30代)」、「総合職と同等の仕事をしており、給与面を考えるとバカバカしくなる(40代)」などの一般職女性の不満が紹介されている。
後押しする存在に
日本生命への入社から41年がたち、中倉氏は今年3月、執行役員に就任した。キャリアの途中で、総合職と同様の評価体系となる職位へ進むことを自ら選んだ。上司に勧められた際には「とても無理だと言っていったんお断りした」が、応援してくれる上司の期待を背に、営業店の店長、支社次長と一つずつ階段を上ってきた。
目の前の業務を「しっかりと行うことにまい進してきた」だけだったが、気付けば後輩の女性たちが目標とする存在になった。中倉氏は、新たな制度の下で歩み始めた女性たちが、責任ある仕事に気後れしてしまう心理的ハードルを越えられるように「後押ししてあげられる存在が必要だし、自分もそうでありたい」と述べた。
著者:佐野七緒
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