さよなら「一般職」、生保・銀行最大手で相次ぎ廃止-賃金格差是正へ
公表資料によると、2023年の男性の賃金を100とした女性の賃金(全従業員)は、全産業で74.8%、金融・保険業全体では61.5%。同年度の日本生命は38.5%、三菱UFJ銀では50.1%と、両社はもともと低い業界平均をも下回っていた。

同作業部会が昨年6月に公表した中間報告では、金融・保険業固有の要因として一般職の9割超が女性に偏っていることなどを挙げ、業界に対して格差是正に向けたアクションプランを早期に策定することを求めていた。
ニッセイ基礎研究所の坊美生子准主任研究員は、金融業界は他業界より一般職が多いと指摘し、その理由の一つをIT(情報技術)化が進む以前は他業種に比べて「事務量がかなり膨大だった」ことだと推察する。一方で、事務処理の必要性が高くても、担当者を女性に限る必要は「全くなかった」とも言う。
高度経済成長期以降の日本では、「モーレツ社員」として長時間働く男性社員と、机の掃除や準備などを行って支える一般職の女性という関係性から「お嫁さん候補」などともみなされるなど、「男は仕事、女は家庭」という意識も根強かった。坊氏は性別によって仕事内容やキャリア開発の優先度を分けていた時代があり、「それが形を変えて残ってきた」と指摘する。
1997年の法改正で社員の募集や採用、配置、昇進に女性であることを理由とする差別的な取り扱いが禁止されるなど男女の機会均等に向けた環境整備は進んだが、一般職にあたる職種への応募が女性に偏る傾向は続いた。
性別による「目に見えない分業」
三菱UFJ銀人事部の上場庸江部長は、コースが分かれていたことで、女性社員が「自分自身にバイアスをかけ、成長にブレーキをかけてしまっていた面があったかもしれない」と話す。職種の一本化に向け支店などへ説明に出向くと「総合職のように働くつもりで入社したわけではない」という女性側からの声を聞くこともあったという。