(第37回)「宮内庁ご用達」を日本企業はやればよい

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安価で大量の武器が技術的に優れた武器を圧倒した例は、歴史上数多くある。紀元前12世紀に高度の文明を築いたミュケナイ人は、精巧な青銅製の武器を用いていた。そこに北方から侵入したドーリア人の武器は、原始的な鉄製のもので、幾太刀か渡り合ったあとでは曲がってしまい、戦いをやめて元の形に戻さねばならぬような代物だった。しかし、青銅は貴金属で、きわめて高価だった。したがって、小数の精鋭軍にしか配備できなかった。

これに対して鉄製の武器は安価であり、全兵士に配備できた。そして、質の悪い安価な武器を持った大軍が、ミュケナイの精鋭軍を席巻してしまったのである。ミュケナイはあまりに完璧に破壊されたため、文書はすべて喪失し、ギリシャは紀元前750年頃まで文字を持たない状態を続けた。

何でこんな話を始めたかといえば、製造業においても、量が質を制する場合があるからだ。

前回紹介した「アリババ」で商品検索すると、その価格に驚く。日本では「消費電力は少ないが、器具は高い」というイメージがあるハロゲンランプが、1個10セント、つまり8円しかしない。高くても1ドルだ。日本では600円程度で、パナソニックなどのブランドメーカーの製品だと1000円を超える。

日本製とは品質面でだいぶ差があるのだろう。しかし、クロンプトンが購入しているので、粗悪商品というわけでもなかろう(クロンプトンは、1878年設立のイギリスの老舗メーカー。ウインザー城の照明を手掛けたことで有名)。

仮に質が悪いとしても、1個10円なら、切れたら取りかえればよい。量が質を凌駕しうるのだ。1個1000円のランプとは異質の使い方ができるのである。

大震災直後、「節電」のためにビルの廊下や階段が暗くなった。暗い階段で怪我するより、ハロゲンで電力を節約する方がずっとよい。電力問題が深刻になった日本で、安いハロゲンランプを大量に使える意味は高まっている。

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