(第37回)「宮内庁ご用達」を日本企業はやればよい

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取引先を見て生産者を評価する

もちろん、アリババが提供する情報のすべてが信頼できるわけではない。実際、アリババでの詐欺事件が、2011年初めに発覚した。内部調査の結果、09、10年に計2300の中国サプライヤーが顧客に詐欺を働いていた容疑が発覚し、アリババの幹部が引責辞職した。

では、アリババで手に入るのは、ガラクタばかりなのだろうか? そうではあるまい。膨大な数の企業があれば、中にインチキ企業が交じるのは不可避だ。アリババは、よくも悪くも現代中国の象徴なのだ。だから、「これを無視し、日本人の仲間同士だけで系列を組み、蛸壺社会の中にいれば安全」とはいえない。そうしていては、現代の世界を生き延びられないだろう。

こうした場合にサプライヤーを評価する重要な手段は、取引先を見ることだ。人々は、前記の中国企業の取引先にクロンプトンの名があるので、信用する。生産者側にブランドがなく、信用されないので、納入先に有名企業を持つことが必要なのだ。つまり、「宮内庁ご用達」である。もちろん、誰もが「宮内庁」になれるわけではない。ブランドを確立している企業だけができることだ。

供給者としては、宮内庁的納入先が、のどから手が出るほど欲しいだろう。どんな安値でも供給したいだろう。「中国製品には粗悪品が多い。中国の企業と取引すれば詐欺にあう」と人々が考えるほど、買い手側の信用力の価値は増大するのだ。

これは、「貧しい中国人労働者を搾取する」のではない。うまく協力し、利用し合うのだ。相手が違う存在であるほど、分業の利益は高くなる。

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