「再婚なら事実婚OK、初婚なら籍を入れる」の真意とは?シニア婚活男性が見せたお相手への"深すぎる配慮"――多様化する結婚相談所のリアル

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ただ、現在の日本の法律では夫婦別姓は認められていない。民法第750条により、『結婚する際には夫婦のいずれかが相手の姓を選び、同じ姓を名乗る』ことが義務付けられている。筆者はようこに言った。

「姓を変えたくないなら、それをプロフィールのPRに記入して、事実婚でもよいというお相手を探したらいいと思います。ただ、結婚対象になるお相手はかなり少なくなると思いますよ。日本では、入籍婚を希望するのが一般的ですから」

また、夫婦別姓の事実婚の場合は法的保護が弱くなるので、社会制度の恩恵を十分に受けられないというリスクがあることも告げた。

例えば、子どもは“非嫡出子”となり、父親の認知が必要になる。パートナーが手術を受ける際も、病院によっては手術の同意者や身元保証人の欄に記入できないことがある。所得税・住民税の配偶者控除が適用されない。

また相続には遺言状が必要で、それがないと、パートナーの親族と裁判になるケースもある。

「わかりました。よく考えてみます」

ようこは結局入会することなく、帰っていった。

年金、相続…シニアの婚活

一方で近年、再婚を希望する高齢者のなかには、「事実婚」を選ぶ人も少なくない。みちや(67歳・仮名)もその1人。入会時にこう語っていた。

「相手が初婚の女性なら籍を入れてもいいと思いますが、再婚者であれば、場合によっては事実婚を希望します」

その理由には、現実的な金銭面における配慮があった。

「再婚の女性であれば、前夫が存命なら年金分割を受けているでしょうし、すでに亡くなっていれば遺族年金を受給している可能性があります。私と法律婚をすれば、その年金が止まってしまう。そうなると、せっかくの安定した収入を失わせてしまうことになる」

それならば、遺族年金を継続してもらいつつ、そこにみちやの年金を加えて生活したほうが、経済的にもゆとりが持てる――みちやはそう話した。

また、相続に関する懸念も口にした。

みちやには2人の子どもがいる。もし再婚相手にも子どもがいた場合、法律婚をすることで、自分や相手が亡くなったときに「子ども同士が遺産をめぐって争う可能性もあるのでは」と心配していた。

一方で、相手が初婚の女性である場合は、話は少し違ってくるようだ。

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