約33.5%が60歳以上に…介護の"司令塔"ともいえるケアマネの高齢化が現場にもたらす深刻な事態

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それに対して65歳以上の高齢者の人口は、前年から2万人増加し、3625万人に達した。この数字は、日本の人口の29.3%が65歳以上の高齢者であることを示しており、過去最高の水準である。

日本の総人口に占める高齢者の割合は世界でも突出して高く、人口10万人以上の200の国や地域のなかで最も高い。総人口が減少する一方で、高齢者の割合が急速に増加しているという異常事態が、日本の今の姿なのだ。

このような高齢化の進行に伴い、当然ながら認知症患者の増加も無視できない問題となっている。

厚生労働省の研究班がまとめたデータによれば、2025年には認知症患者数が471万6000人に達し、さらに2040年には584万人あまりにのぼると推計されている。

65歳以上の高齢者の約15%、つまり6.7人に1人が認知症になると予測されているのだ。これにより、介護を必要とする高齢者は今後も増加し続けることは確実である。

数人のスタッフで多くの入居者に対応する現場

認知症を患う高齢者に対するケアは、肉体的なケアだけでなく、精神的・社会的なケアも含まれるため、介護現場の負担はますます大きくなる。

私は数年前、ある老人ホームを訪問し、認知症を患う高齢者が入居する施設を見学したことがある。

そこで見た光景が印象的だった。入居者は、自分の名前さえ思い出せず、日常生活の基本的な動作さえ困難になっていた。スタッフが懸命に対応しているものの、数人のスタッフで多くの入居者に対応するのは限界があるようにも見えた。

こうした現実に加え、要介護認定を受けた高齢者の数も増加している。

2023年3月末時点で、要介護・要支援認定を受けた高齢者は694万人にのぼる。また、居宅サービスや地域密着型サービス、施設サービスを利用している高齢者の数も599万人に達している。

内閣府がまとめた『令和5年版高齢社会白書』によれば、65歳から74歳の高齢者において要支援・要介護の認定を受けた割合はそれぞれ1.4%、3.0%であるのに対し、75歳以上ではそれぞれ8.9%、23.4%と大幅に増加しているのだ。

とくに75歳以上では、要介護認定を受ける人の割合が急激に増えることが明らかになっている。

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