約33.5%が60歳以上に…介護の"司令塔"ともいえるケアマネの高齢化が現場にもたらす深刻な事態

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これらのデータは、介護を必要とする高齢者が今後も増加し続け、介護現場の負担がさらに重くなることを示している。

しかも、この数字には老老介護の状態にある世帯や、要介護認定を受けずに介護が必要な高齢者が含まれていないため、実際にはさらに多くの人々が介護を必要としていると推察される。

「ケアマネジャー」の約33.5%が60歳以上

介護を必要とする人が急増する一方で、「ケアマネジャー」の数は減少傾向にある。

ケアマネとは、介護が必要な高齢者やその家族に対して、適切な介護サービスを受けられるよう支援する専門職である。正式名称は「介護支援専門員」といい、利用者の状態を評価し、介護サービス計画(ケアプラン)を作成することが主な役割である。

また、介護サービス提供事業者との調整や、利用者やその家族への相談対応など、多岐にわたる業務を担っている。

介護保険制度の下で、利用者が最適な介護サービスを受けられるようにするための重要な役割を果たしており、逆にいえばケアマネがいなくては介護サービスが受けられない。いわば介護の"司令塔"のような存在だ。

そのケアマネが不足しているとの声は現場でよく聞く。2020年度に約18万8000人だったケアマネ従事者は、22年度には約18万3000人と微減しつつある。

また、1998年度に行われたケアマネの試験の第1回には約20万7000人の受験者がいたが、2023年度は約5万6000人まで減っている。

そして2024年度は前年より4.9%減り約5万4000人だった。受験者減少の背景には、試験の難易度の高さだけでなく、資格取得後の業務の厳しさが影響していると考えられる。

さらに、ケアマネの年齢構成についても問題が浮き彫りになっている。2022年度のデータによると、60歳以上のケアマネの割合が増加しており、逆に45歳未満の従事者の割合は減少している。

60歳以上のケアマネジャーは全体の約33.5%を占めており、今後の定年退職によりさらなる人材不足が懸念される。これに対し、若年層の参入が不足しているため、介護現場における人手不足の問題はますます深刻化することが予想されるのだ。

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