低賃金、年金、少子高齢化…《課題が山積みの日本社会》 豊かになるための「唯一の方法」

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なお、ここで言う経営教育という言葉は、2024年12月時点で一般的な言葉ではありませんが、徐々に広がりを見せています。筆者は、これからの日本がもう一度豊かになるカギは「経営教育」にこそあると思っています。金融教育でも、経済教育でもない。経営教育です。

現代日本の多くの問題は「限りある価値の奪い合い」として理解できます。だとすれば、「限りない価値の創り合い」こそが問題解決のカギだといえるでしょう。そして、限りない価値の創り合いへと一歩進むために必要なことが2つあります。

1つめは、私たちの頭にこびりついた価値有限思考・価値奪取思考の弊害に気づくこと。2つめは、価値無限思考・価値創造思考を現実化するための思考道具が社会で共有されること。

価値が足りないなら創ればいい

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日本に価値が足りないなら創ればいいのです。あるいは、イノベーションは起こせばいい。そのために必要な思考道具は無償で配っていけばいいだけです。この論理であれば、反対の余地はないでしょう。答えはもう見えているのです。

ただし、実践のともなわない理念は無意味です。東洋的な知行合一では「知っているということは、実際にできるということ」です。この記事の内容を「なるほど、そんなもんか」と納得していただくことは、筆者としてはもちろん嬉しいかぎりです。でも、日本をもう一度豊かにするには、それだけではダメなのです。「なるほど、そんなもんか」に「じゃあ、今日からやってみるか」「周囲にも一緒にやる仲間を増やそうか」が追加される必要があります。

そうして皆様一人ひとりが価値創造思考ができるようになり、価値奪取思考との使い分けができるようになったら、しかもそれが知行合一できたならば、次にはぜひ教育者になっていただきたいと思います。

価値創造の経営教育は、家庭でも、職場でも、組織全体でも、規模は違えどもどこでも可能ですし、必要でもあります。価値創造の民主化は、価値創造の経営教育を誰かが担わないことには実現不可能です。過去の日本では、それは親や先輩や経営者の役割でした。

いまこそ、皆様と一緒に、同じ理想を抱く仲間として、「奪い合う世界」から「創り合う世界」への大転換への一歩を踏み出せれば、これ以上の幸せはありません。

まずは、いまここの自分と目の前の相手の対立解消から始めてみませんか。

岩尾 俊兵 慶應義塾大学准教授

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いわお しゅんぺい / Shumpei Iwao

慶應義塾大学商学部准教授、THE WHY HOW DO COMPANY株式会社(東京証券取引所スタンダード市場:3823)代表取締役社長。平成元年佐賀県有田町生まれ、慶應義塾大学商学部卒業、東京大学大学院経済学研究科マネジメント専攻博士課程修了、博士(経営学)。組織学会評議員、日本生産管理学会理事。著書に『経営教育』『13歳からの経営の教科書』(以上、KADOKAWA)、『世界は経営でできている』(講談社現代新書)、『日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか』(光文社新書)などがある。2024年よりTHE WHY HOW DO COMPANY株式会社の社長として再建業務に従事。

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