低賃金、年金、少子高齢化…《課題が山積みの日本社会》 豊かになるための「唯一の方法」
しかも、実際の油田や金鉱よりも、ヒトの頭脳のほうがよっぽど優れています。
日本に(比喩ではなく本物の)巨大な油田や金鉱が発見されても、日本の問題は解決できません。石油価格や金価格が下がるだけでジリ貧になるからです。過去に似たような事例もありました。それはスペインによる中南米の侵略の歴史です。
油田より金鉱より貴重な唯一の資源
スペインはアメリカ大陸で巨大な銀山を発見しました。たとえばポトシにあるセロ・リコ銀山など。この、通称ポトシ銀山では、インディヘナ(先住民)を強制的に奴隷労働に従事させるといった不幸が起きました。銀が山ほど採れることで、スペインは永久に安泰かのように思われました。
しかし、実際に起こったのは「銀の価格下落」「スペインの衰退」でした。むしろ、その後に覇権をにぎったのは、人間の脳みそと身体をフル活用して産業革命を起こしたイギリスだったのです。
石油や金銀ダイヤモンドなどは、たしかに価値あるものではあります。でも、それらはどれも同じものです。専門的には「差別化できない価値」とか「コモディティ」などといいます。まったく同じものが大量に産出されるようになったら、その財・サービスの価値はどんどん下がっていくのです。
これに対してヒトの頭脳という油田や金鉱だったらどうでしょう。
ヒトはそれぞれ多様な人生を過ごしています。だから、ヒトの頭脳から生まれる価値はどれも同じではありません。業務を一新するアルゴリズムを書ける。小説を書ける。絵を描ける。他人の心をほぐす会話ができる。業務を確実に遂行できる。そんなふうに、ヒトは多様で差別化された価値を生み出します。
石油や金はどれも同じコモディティでも、ヒトはコモディティではないのです。
だからこそ、ヒトの頭脳からたくさんの価値が生み出されていっても、それらは別々の価値ですから、石油や金のように価値が一気に下落していくということはありません。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら