「相場の30~40%でも売れない」管理組合理事の“独裁”で悪評吹き荒れた渋谷一等地マンションの住民が受けた理不尽な支配(後編)

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秀和幡ヶ谷レジデンス
秀和幡ヶ谷レジデンス(写真提供=毎日新聞出版)
「マンションには54台もの防犯カメラが設置されており、住民は24時間行動を監視されている」。渋谷区の最寄り駅から徒歩4分の一等地にある人気のヴィンテージマンションシリーズにもかかわらず、周辺相場の30~40%でも買い手がつかないマンションがあった。
ついに住民は、30年近く“独裁”を続けた管理組合の理事と対峙し、政権交代を果たす。
栗田シメイ氏の新著『ルポ 秀和幡ヶ谷レジデンス』より、一部抜粋・再編集のうえ、ネット上で「渋谷の北朝鮮」とも揶揄された実態と、理事との壮絶な戦いをお届けする。(前・後編の後編/前編から読む

活動の自粛…最も辛い半年間

2020年2月の総会を終えて、有志の会の一部メンバーは手応えを感じていた。次回の役員改選で、勝負をかけられるのではないか。そんな感触をつかみつつあった。最大の理由は平時の総会の参加者が増えてきていたこと。加えて、委任状の集まりが80に届いていたことだった。

しかし、新型コロナウイルスの蔓延により、集会や活動に大きな制限がかけられることになる。以前より、活動資金を得ることも重要課題であった。2019年に会則を作り、自治会で口座を開設した。これを最後に、集会所の閉鎖に伴い、月に2度開いていた集会は自粛を余儀なくされる。

「最も辛い時期を挙げるなら、2020年3月からの半年間ですかね。そもそも満足な活動がほとんどできなかったので。これまで苦労して積み上げてきたものが手から崩れ落ちていくような感覚でした」手島は、後にこう振り返っている。

秀和幡ヶ谷レジデンス
(写真提供=毎日新聞出版)
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