食材と「健康感」で差別化
メニュー構成においては、豚汁がシンプルな食べ物だからこそ、他店との差別化も図られた。特にこだわった食材が3つある。自家製汲み豆腐と、九州産の麦味噌、そして、青森県産米だ。

自家製汲み豆腐は、一般的な豚汁に入っているのが「さいの目」に切った小さな豆腐が多いなかで、「味わいを楽しめる豆腐を。それも、豚汁の複雑なうま味に負けないおいしい豆腐を作ろう」と、国産大豆「とよまさり」を100%使って店舗で手作りされている。
九州産の麦味噌は、「味噌の甘さが女性にうけ、野菜の甘味にも調和する」と選ばれたそうだ。麦の粒感や繊維が残る素朴な味わいも、「健康」というキーワードに合致した。
青森県産米は、「まっしぐら」という品種だ。粒が重く、しっかりとした食事感があり、ほどよい粘りがあることが採用のポイントだった。
ほかにも、米味噌、塩麹など、健康的な素材を使って「健康感」を強めた。野菜も、国産野菜を大きくカットして、汁の一体感に埋もれてしまわないように。「今にんじんを食べている」など、野菜一つひとつのおいしさを、一杯の丼の中で楽しめることを大切にしたという。
「汁と一体になると、野菜の存在感が薄れてしまいます。お客様が外食で健康に配慮を求めたときに選ばれるように、あくまでも、『野菜を食べるための、おかずとしての豚汁である』立ち位置を明確にしました」と中島社長は強調する。

また、こだわった材料を使うと値段が気になるところだが、ごちとんでは1000円以下から定食が食べられる。最も安い「ごちとん豚汁定食」は、豚汁、ごはん、漬物がついて790円だ。都心で健康的なごはんを食べようとすると1000円、1500円するのが当たり前な時代だが、20代、30代を意識して底値を抑えている。
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