ラーメン鉢サイズの丼に入った豚汁は、その名の通り、大きめにカットされた人参、れんこん、大根、じゃがいもがゴロゴロ入っており、それぞれに野菜の風味をしっかりと主張する。それでいて、噛むとホロリと崩れるやわらかさだ。

なかに入っている豆腐は自家製で、1/3丁はある大きさ。大豆の甘みがしっかりと感じられる。米味噌、麦味噌の2択からチョイスした麦味噌の汁をすすると、やさしい甘さと豊潤な香りにほっこり癒やされた。
さらに、合間にごはんに箸を伸ばすと、粘りが強すぎず、サラッとやわらかな食感。豚汁のうま味を引き立ててくれる。
野菜と豆腐と味噌とごはん……。ついアジフライを追加したことをのぞけば、罪悪感がないばかりか、「身体にいいことをした」自己肯定感に満たされ、お腹おいっぱいになれた夜だった。
と、人心地ついて周囲を見ると、店は20代、30代の男女でほぼ満員になっている。「おひとりさま」も多い。みんな、「罪悪感のない」夕食を求めて訪れるのだろうか? そもそも、豚汁をなぜ主役に据えたのか。同じグループのカツ丼専門店「かつや」とはどんな関係にあるのか?
次々に疑問が浮かび、運営元のフィルドテーブル株式会社 中島宗則社長に取材を申し込んだ。

オペレーションの効率化と味の両立を
ごちとんは、2017年に代々木に誕生した飲食チェーンだ。フィルドテーブルはその頃、「一日分の野菜を食べるカレー」をコンセプトに、大きめ野菜がゴロゴロ入ったカレーを提供する「camp」というチェーンを運営していた。
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