「豚汁に見えないような豚汁」を開発
ごちとんでは、メニューのバリエーションも豊富だ。豚汁だけで、「辛味噌チゲ豚汁」「麦味噌のトムヤム豚汁」「味噌バターコーン豚汁」など6種類もある。
加えて、4月15日まで提供されていた「西京味噌のビスク風豚汁」など、フェアメニューも45日間替わりで登場する。

このような“変わり豚汁”は2021年、コロナ禍で売り上げがなくなった居酒屋が昼営業して豚汁を提供し、豚汁専門店が増えた際により強化されたそうだ。簡単には真似することのできない「新しい豚汁」を目標に、「健康を意識する20代、30代向け」「野菜を食べるための豚汁」というコンセプトを突き詰めた結果、「豚汁に見えないような豚汁」の開発に至ったという。「ただ見た目がいい、変わっている」ではなく、「豚汁として成立し、なおかつレベルが高いもの」を苦心して考案している。
また、健康を意識して、アジフライ、さばの竜田揚げ、さばの味噌煮込み、さばの塩麹焼きなど、魚メニューも充実。切り身から店ですべて手作りしているそうで、高い満足感につながっている。

一方、このフードメニューの豊富さとは裏腹に、かなり少ないのがドリンクメニューだ。ビールとジンジャーエール、ちょっと珍しい「味噌コ―ラ」の3品のみ。ほかにも置いたことがあるが、あまり売れないという。その理由を中島社長は、「『お酒やお茶を楽しむのではなく、さっと食事して出ていける店」と客に認識されているからでは」と分析する。
その分析を裏付けるように、客の滞在時間は平均25分と短い。このため、基本11:00~22:30(LO22:00)の営業時間で、回転率は平均13回転と高い。効率のいい業態なのだ。
ここまで、ごちとんの開発の歴史と共に、好調につながっている取り組みを伝えてきた。中島社長がこれまで取り組んできた「女性向け業態」のビジョンが、近年の健康志向の高まりと、時短ニーズという社会変化と合致し、新たなビジネスモデルとして結実した事例といえそうだ。

後編の記事ー絶好調で出店加速の「かつやの姉妹豚汁店」。実は「かつやと同じ肉」を使っていない、あえてスケールメリットを狙わない”深い理由”ーでは、取材を通して見えてきたグループとしての意外なこだわりや、課題について解説する。
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