ターゲット層の明確化と「フェス」な店舗設計
ごちとんの開発背景には、食文化の変化もあった。2017年頃から、働く20代、30代の男女の「健康的な食」への意識が高まってきていたのだ。美容と健康に良いと、甘酒ブームが起きたのもこの頃だ。
加えて、男性向けの飲食店が多いなか、女性が一人でランチに入れる店はまだ少なかった。そこで、「女性が一人でも入って健康をチャージできる店を」と開発がはじまった。

フィルドテーブルの親会社であるアークランドサービスホールディングスは、元々「かつや」「からやま」など、男性向けチェーンの業態開発が得意な会社だ。しかし中島社長は、そのなかで約20年前から女性向け新業態の開発を担ってきた。価値観、予算感など、総合的に女性の意見を取り入れて商品と業態作りを進め、2020年にはたらこスパゲティ専門店「東京たらこスパゲティ」を立ち上げ。そして、2021年に創業者からごちとんの経営を引き継ぐことになったという。
就任後中島社長は、ごちとんの客の軸を改めて考え、メインターゲットを「健康への関心の高い20代、30代の女性」に。サブターゲットを「同年代の男性」に据えた。商業立地だけでなく、男性客が多いビジネス立地の店もあったからだ。「甘い麦味噌だけでなく、しょっぱくてしっかりと食事感を感じられる米味噌を選べる」形に途中で変えるなど、男性客も意識してブラッシュアップしていった。
店舗設計も、campから受け継いだ「フェスの雰囲気」をテーマに和食である豚汁とは真逆の、カフェのような雰囲気でギャップを生み出している。また、キッチンは、大鍋で調理するライブ感が訴求できるオープンキッチンに。基本約15坪の店のため、「空間的に圧迫感がでないように」という配慮も込められている。

現在のごちとんの客層は、狙い通りの20代、30代が中心で、男女比は女性6割、男性4割だ。
客からは、「すぐ出てきて助かる」「健康に配慮できる」「汁物がおかずになっているので、食事の時間も短くて済む」などの声が聞こえるという。
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