「スタッフはシフト制」「球団ごとに動画制作の担当がいるわけではない」…。パ・リーグ人気に火をつけた「パテレ」。切り抜き動画の制作の裏側

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PLMの取り組みのすべては、“プロ野球ファンを増やす”というミッションに基づいたもの。迷いが生じたときは常にその原点に立ち返ることを意識しているという。また、森氏は新しい企画にチャレンジしやすい企業風土であることも強調する。

「昨年、私が『新しいメディアを立ち上げたい』と新井さんにご相談したときも、『OK!やろうか!』と決断していただきました。当然コストを含めた費用対効果については考えますが、トップがチャレンジを後押ししてくださる環境があると感じています」(森氏)

PLMの社員は約30人。業務委託やアルバイトを加えると50人以上の組織になる。社員の職歴は多種多様で、テレビ局で映像関連に従事していたスタッフもいれば、メーカー出身のスタッフも在籍。また、必ずしも野球に詳しい人間、好きな人間ばかりではないという。

「私はこの会社の中では野球を知らないほうだと思います。一般的には知っているほうだと思っていたのですが、スタッフの中には本当に野球が好きな方が多く、仕事で毎日野球を見ていながらも、休みの日にも『球場へ行ってました』という声をよく聞きます」(森氏)

「私も学生の頃はサッカー部でしたし、野球の経験があるわけではありません。当然野球に詳しい人間、好きな人間は必要なのですが、そうではない人間も必要だと思うんです。やはりファン層を拡大していく企画を考えるにあたって、自分や森さんみたいな人間が『面白そうだね』と思えるかどうかは大事ですし、いろいろな人間が意見を言い合える環境が理想かなと。

それと、昨今の観客動員数増加の要因として、球場全体のエンターテインメントに心を動かされている部分も大きいはずです。プレーを観に行くだけではなく、球場でどんな時間を過ごせるか。例えば5000円のチケット代を払ったら、価格以上の価値を体験してもらいたいじゃないですか。そういったマインドは私たちだけでなく、関わっている各球団のスタッフの皆さんも持っていると感じています」(新井氏)

「パテレ行き」がファンの間で定着

気になるのがYouTubeチャンネルの運営体制だ。ナイターでもデーゲームでも投稿は常にタイムリー。一体どのような態勢で取り組んでいるのだろうか。

「スタッフはシフト制勤務で、球団ごとに動画制作の担当スタッフを決めているわけではありません。社内の作業場には多数のモニターがあり、パ・リーグの全試合を映しています。試合が始まる少し前くらいからスタッフが出勤してスタンバイする一方、自宅からリモートで作業するスタッフもいます」(新井氏)

パテレ
数々の切り抜き動画はここで生まれた。なお、取材は3月。オープン戦のない日ということもあり、オフィスは静寂に包まれていた(写真:今井康一)

プロ野球の試合時間は約3時間。どんなシーンも見逃すまいと集中力を切らさずに試合に張り付くだけでなく、見どころを的確にピックアップして視聴者に伝えるためには、それなりに野球に詳しくなければ難しい。

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