「スタッフはシフト制」「球団ごとに動画制作の担当がいるわけではない」…。パ・リーグ人気に火をつけた「パテレ」。切り抜き動画の制作の裏側

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「意外に思われるかもしれませんが、メインで編集を担当しているスタッフは、元々熱狂的な野球ファンという方ではなかったんです。ただ、約10年作業に携わり、パ・リーグのほとんどの試合を3試合同時に見ているので、『日本で一番パ・リーグの試合を見ている人間』と言ってもいいかもしれません(笑)。もちろん野球にものすごく詳しいスタッフもいますし、いろいろなスタッフがアイディアを出し合って動画を制作しています」(新井氏)

ホームランやタイムリー、三振の場面などをクローズアップするのはありきたりだが、それ以外の場面にも着眼。中継ぎ投手が3者凡退に抑え、その後の反撃につながったシーンに焦点を当て、「反撃呼ぶ3者凡退 福谷浩司移籍後初登板・初勝利」というコピーをサムネイルに入れるなど、野球ファンの心をくすぐる動画がタイムリーに投稿される。

「このシーンを取り上げてくれるなんて、さすがパテレ」といった声が寄せられるほか、試合で珍しいプレーなどがあった際には、「このシーンはパ・リーグTVが取り上げるはず」という意味で、『パテレ行き』というワードがプロ野球ファンの間で定着している。

パテレ行き
「パテレ行き」のタオル(写真:今井康一)

「野球の特性としてボールが止まってる時間が長いので、いろいろなシーンを切り取りやすいというのは間違いなくあると思います」(森氏)

スポーツ界全体を考えた取り組みも推進

動画の切り抜きをはじめ、前編で言及した「パーソル パ・リーグTV パテレアワード」など、今後もプロ野球ファンを増やす試みにどんどん取り組んでいきたいという。

また、同社の手がける事業は多岐にわたり、スポーツ業界に特化した転職支援サービス「PLMキャリア」もそのひとつ。スポーツ業界にどのような職種があり、どのような人材が必要なのかをコンテンツホルダーの立場で熟知しているため、「スポーツに関わる仕事をしたい方」と「スポーツ業界の採用ニーズ」のベストマッチングができるという。

「弊社が提供するサービスの目的はプロ野球ファンを増やすことが主ですが、PLMキャリアはスポーツ界全体の発展に向けた取り組みです。要は野球界はもちろん、スポーツ界に求められる優秀な人材を、“スポーツ業界外”からも供給していけるようにしていこうと。例えばチケット販売サイトを運営している企業で勤務していた方をご紹介した事例もありますし、スポーツビジネス市場規模が拡大している昨今、やっぱりそこには優秀な人材がいなければいけません。

スポーツ界の仕事は独特な事業スタイルなどと思われがちなのですが、スポーツ業界外でさまざまな経験を積まれた方が活躍できる土壌がありますし、そういう方々が集まってくることでスポーツ界が発展していくと思うんです」(新井氏)

PLMキャリアについても話をしてくれた新井氏(写真:今井康一)

6球団で一体となって取り組むリーグビジネスを推進し、パ・リーグのみならず日本のプロ野球界、さらにはスポーツ界の発展に向けた取り組みを推進するPLM。今後の活動からますます目が離せない。

【もっと読む】「セ・リーグに対抗する意識はありません」6球団で力を合わせた施策でファンを拡大、パ・リーグ人気の立役者「パテレ」。運営会社の"戦略"の実態 では、PLMのこれまでの歴史や、地道な戦略について、スポーツライターの浜田 哲男 氏が取材、詳しくお伝えしている。
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