突然のガン告知、でも彼女はあきらめなかった 2人に1人がガンになる時代をどう受け止めるか

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現在、キャンサーソリューソンズは医療機関や製薬会社など、病気と向き合うことの多い主体に対するコンサルティングや企画のプランニングなども行っています。こうした各国の先進事例を参考にしながら、当事者だったからこそ見えてくる視点を利用して、社会のプラットフォームのあり方を変えようとしているのです。そして桜井さんは、さらにその活動の舞台を社会的マイノリティに対するものにまで広げようとしています。

生きづらさを感じている人たちの力になりたい

桜井なおみ(さくらい・なおみ/写真左)
大学で都市計画を学んだ後、卒業後はコンサルティング会社にてまちづくりや環境学習など「人と都市をつなぐ」活動に従事。2004年、30代で乳ガンを罹患した後は、自らのガン経験や社会経験を生かし、小児ガンを含めた働く世代の患者・家族の支援活動を開始、「患者・家族と医療をつなぐ」を展開中。「何かと何かをつなぐこと」を人生のテーマにすることを見つけ、現在も活動中。キャンサーソリューションズ代表取締役社長、NPO法人HOPEプロジェクト理事長、一般社団法人CSRプロジェクト代表理事。技術士(建設部門)。第21回人間力大賞会頭特別賞受賞など

「キャンサー・ソリューソンズはがん患者さんをサポートしたいと始めました。しかし今は、広く病気になった人のサポートをするようになりました。マイノリティとして同じ問題に向き合っているからです。これは病気の人だけでなく、災害であったり、人生に負のインパクトのあった人もです。社会から疎外されてしまっている、生きづらさを感じている人たちはたくさんいるのです。将来的にはもっとこういう人たちの力になっていきたいと考えています」

同じような境遇の人が生きやすい社会をつくるために、自らの経験に裏打ちされた、当事者が持つことができる視点を生かしていく。これはすべてのマイノリティが持つ可能性です。桜井さんの挑戦の仕方は、全ての社会的マイノリティが持つ潜在的な可能性を示すものです。桜井さんの挑戦が、多くのマイノリティに勇気を与えるものになればと考えています。

【お知らせ】マザーハウスでは、本連載のテーマ「挑戦者たちの朝」に合わせてマザーハウスカレッジを行っています。次回開催概要など詳細はこちらをご覧ください。

山崎 大祐 マザーハウス 副社長

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やまざき だいすけ / Daisuke Yamazaki

1980年東京生まれ。高校時代は物理学者を目指していたが、幼少期の記者への夢を捨てられず、1999年、慶応義塾大学総合政策学部に進学。大学在学中にベトナムでストリートチルドレンのドキュメンタリーを撮影したことをきっかけに、途上国の貧困・開発問題に興味を持ち始める。2003年、大学卒業後、 ゴールドマン・サックス証券に入社。エコノミストとして、日本及びアジア経済の分析・調査・研究や各投資家への金融商品の提案を行う。2007年3月、同社を退社。株式会社マザーハウスの経営への参画を決意し、同年7月に副社長に就任。副社長として、マーケティング・生産の両サイドを管理。1年の半分は途上国を中心に海外を飛び回っている。

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