突然のガン告知、でも彼女はあきらめなかった 2人に1人がガンになる時代をどう受け止めるか

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キャンサーソリューソンズのオフィスの様子。働くメンバーもガンのサバイバー

そうした強い気持ちから生まれたのが、ガン患者を支援するキャンサー・ソリューソンズでした。桜井さんの笑顔と明るさは、多くのガン患者の方や経験者の方に勇気と希望を与えています。しかしその裏には、自らの苦しみとそれを乗り越えてきた実体験に基づいたものがあります。そして今では、同じようにガン経験という逆境を乗り越えたスタッフ10人が、キャンサー・ソリューソンズで働いています。

社会の中でもっと楽しく病気があっていい

現在、桜井さんは、ガン患者のメンタルケアや就職支援などを精力的に行っている一方で、そういった人々を受け入れる社会土壌をどう作るかという点においても、活動を続けています。

「ガンは今、2人に1人で、マイノリティではないんです。ビッグボイスですよ。だけどみんな隠すのです。ガン=死んじゃうというイメージがありますが、本当はそうではありません。患者さん自身も、受け止める周りの人々も、ライフイベントに向き合うだけの教育を受けていないのは大きいと思います。患者さん自身も正直に自分の感情を伝えることは大事だし、正直に言えるような環境を社会の中に作っていくことも大事です」

社会の中でもっと病気の存在を言いやすく、普通のものにしていく。そして、そんな社会づくりのヒントは、アメリカに見られていると桜井さんは言います。

桜井さんは、ガン患者さんを受け入れる社会を作るためにも、各所で講演なども続けている

「学会の発表などでアメリカに行き、アメリカの病院に行ってみると進んでいるなと感じます。ある病院では、カフェに行くと病名を聞かれて、Congratulation!(よく頑張ったね!)という言葉と共に、割り引いてもらえる。そして、治って退院すると、やったね、と一緒に喜んでくれたりするんです。うれしいこともつらいことも、一緒に共有してくれて隠す必要なんてない、そういう空気感が醸成されていて、これが患者さんの気持ちを楽にしていると思います」

次ページ同じような境遇の人が生きやすい社会をつくるため
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