休戦におけるプーチン大統領の「最終目標」は明確だ。それは次の5つである。
もちろん、ウクライナもEUも決して受け入れられるものではないし、いくらトランプ大統領が親ロシアでも、すべては受け入れられない。そのため、ロシアは圧倒的勝利によって最終目標を達成するまで戦闘継続を志向するだろう。
プーチン大統領はロシア帝国の復興を夢見ている。それは、アメリカとともに世界秩序を構築できる大国であり、旧ソビエト連邦の国々に脅威を与えている。
特にロシア系住民が多いバルト3国(エストニア、ラトビア、リトアニア)は、ウクライナ戦争の行方に大きな関心を抱いている。ウクライナでプーチン大統領の野望が実現すれば、次の標的は間違いなくバルト3国になるからだ。ウクライナの「ネオナチ」がロシア系住民を虐待しているという口実で、ロシアはウクライナに侵攻したが、バルト3国にはロシア系住民が多く、同じロジックが展開される懸念がある。
バルト3国やポーランドなどは「オタワ条約」を脱退
ウクライナ戦争の停戦協議が行われている最中の3月18日、ポーランドとバルト3国の国防相が共同声明を発表し、地雷の敷設を禁止した「オタワ条約」からの脱退を自国の首脳に進言した。同条約は1999年に発効した地雷使用、貯蔵、生産、移転を全面的に禁止する条約で、164カ国が批准している。
脱退すべき理由は簡単だ。ロシア軍が国境を越えて侵入してきた場合に備え、国境線に地雷を敷設する必要があるからだ。オタワ条約からの脱退は各国の議会で承認され、正式に決まった。また4月に入ってフィンランドも脱退を決めた。
つまり、バルト3国やポーランド、フィンランドはそれだけロシアの脅威を切実に感じているということだ。程度の差はあれ、多くのEU諸国も同様な懸念を抱いている。そのためトランプ大統領がいかに剛腕であるとしても、西欧と旧ソビエト連邦国の懸念を無視して和平交渉を推し進めるのは難しいだろう。
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