ウクライナ戦争の停戦交渉の裏側(下) 親ロのアメリカはもはや不要。 「欧州最強軍事国」にのし上がったウクライナが新安保システムの主軸に?

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「ロシアに降伏」はありえないとしても、仮にアメリカの軍事援助がなくなっても戦いを続けることができるのか。ウクライナ戦争のイメージは、カマキリが前足を挙げて熊に戦いを挑んでいる、まさに「蟷螂(とうろう)の斧」である。

しかし、元ウクライナ国防省の顧問であり、現在、ウクライナ安全保障協力センターの理事長であるセルビー・クザン氏は「ウクライナの軍事力を侮るべきではない」と書いている(『The Atlantic Council』3月25日、「Ukraine's Growing Military Strength is an underrated factor in peace talk (ウクライナの増大する軍事力は和平交渉の中で過小評価されている)」。クザン氏によれば「ウクライナは欧州最強の軍事国家の1つになっている」のだ。

クザン氏は「ウクライナはアメリカの軍事援助なしで生き残れるのか」と「アメリカが軍事援助を停止した場合、欧州諸国はその穴を埋めることができるのか」の2つの問いに答えている。

いまやウクライナは欧州最強の兵力と知識を持つ

現在、ウクライナには約100万人の武装した人々がいる。ウクライナ軍は欧州で最大だ(第2位はフランス軍の20万人)。さらに3年にわたる戦争でウクライナ軍は鍛え上げられ、近代戦争に関する比類なき知識を持っている。

クザン氏は「ウクライナ軍は極めて革新的で急速に発展する軍産業複合体に支えられている」と指摘し、「ロシアに対する戦争の将来の進路や和平交渉の条件について議論するとき、ウクライナが今や自立した軍事大国である事実を考慮しなければならない」と、一般の人が抱くウクライナ軍のイメージの転換を求めている。

そしてロシアの力を侮るべきではないとしながらも、「現在のペースでロシアが侵攻した場合、ロシアがウクライナを完全に支配するには1世紀かかるだろう」と興味深い指摘をしている。

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