「赤の他人同士ですから、最初はお互いに無言でタバコを吸っただけです。2回目は会釈をするようになり、3回目で『また会いましたね』と言葉を交わしました」
クラブやスナックにもよく飲みに行く孝太郎さんは、華やかなグループの中心にいる真美さんは現役で水商売をしていると思い込み、「今度飲みに行くよ。連絡先交換しよ」と軽く誘った。一方の真美さんは孝太郎さんに光るものを感じたようだ。
「なんてやさしいオーラが出ている人なんだろう、という第一印象です。でも、私には推し量ることができない闇の部分も少し感じました」
水商売で長く責任者をしていた真美さんは人間観察に長けているようだ。1カ月以内に名古屋駅前で会い、ベロベロになるまでハシゴ酒を楽しんだという2人。その夜のうちにホテルに行って付き合うことに決めた。
「それからは毎日LINEで連絡を取り合い、毎週土曜日に彼がうちに泊まりに来てくれました。2人で組体操をしたりして、大笑いの日々でしたね」
孝太郎さん母も大歓迎で同居
直感力と行動力もある真美さんは孝太郎さんとの再婚を予感。であれば、名古屋で一人暮らしをしている自分の家賃がもったいない。母親と同居している孝太郎さんの家に自分も移り住み、三河地方で働こうと決めた。
「私は北陸の田舎出身で、名古屋には未練がありませんでした。むしろのんびりしているところで暮らすほうが向いています。とにかく孝太郎さんのように私と波長が合う人はめったにいません。繊細な彼が抱える闇は明るい性格の私がフォローすればいいと思いました」
真美さんの同居は孝太郎さんの母親にとっても朗報だった。「キレイな飲み方をする」ことが自慢の孝太郎さんだが、自宅に帰るとそのままソファで寝転んでしまうことがある。酒を飲まない母親は許せず、50代の息子を叱る日常だった。それが急に好転した。
「しっかり者のマミがうちに来てからはすごく気楽そうです。家事も含めてマミに一任していますから」と言う孝太郎さん自身も再婚で変わった。かつては、自業自得で我が子に会えなくなってしまった虚しさを埋めるかのように、息子や娘と同い年ぐらいの若いホステスたちと高級店に同伴して散財する日々だった。今は真美さんとしか外食しなくなり、たいていは自宅で食事をする「サラリーマンの普通の生活」を楽しんでいる。
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