ホテル客室係やタクシー運転者の仕事は消滅しなかった…10年前の「AIに代替される職業・代替されない職業リスト」が現実には"真逆になった"納得のワケ

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代替可能性が高いとされたリストを眺めると「建設作業員」「タクシー運転者」「ホテル客室係」といった職業が目に飛び込んできます。

経済評論家の立場で断言しますけれど、これらの仕事の雇用主の方にこの話をしたら、あきれてものが言えないという反応が戻ってくるはずです。ホテル業、運輸業、建設業のどの現場でも人が雇えないことが最大の経営課題になっています。

他にもリストには「警備員」「スーパー店員」「宅配便配達員」「電車運転士」といったエッセンシャルワーカーの仕事が多く目につきます。なぜこんなことになったのかというと、そもそもこのリストは「AIとロボット」に代替される仕事を想定したものだったというところに齟齬があったようです。

単純労働はロボットに代替されると予測されていた

というのも10年前の当時の期待としてはAIよりもロボットの発展を想像することが現実的だったのでしょう。ちまたには寿司ロボットや工場のラインで働く溶接ロボットが大量に出現していて、これからは単純労働の仕事はどんどんロボットに代替されると考えられた時代でした。

ホンダのアシモのような二足歩行ロボットが出現し、2020年頃までには完全自動運転の乗用車も市販されると予測された時代です。そのバイアスからエッセンシャルワーカーの大半がロボットに置き換わることを期待したのは、当時の予測としては間違えても仕方なかったのかもしれません。

実際にはロボット業界はこの10年は我慢と停滞の時代だったといえます。というのもこの先のロボットの進化に必要とされる人間のような指の動きがものすごく開発難易度が高いことがわかってきたからです。

さて、では10年前にブームになった職業消滅のリストは全体として間違っていたのでしょうか? 実はここが面白いところです。野村総研のレポートの大本を辿ると、このジャンルのさきがけとなったのはイギリスのオックスフォード大学の研究者のマイケル・オズボーン准教授(当時)が2013年の発表した雇用の未来の論文でした。

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