しかるにあらためて考えてみると、「トランプ関税」の法的根拠はかなり強引だ。
まず国別関税であるところのカナダ、メキシコ、中国に対する追加関税は、IEEPA(国際緊急経済権限法)に基づくものである。本来はイランやシリアや北朝鮮に対して適用されているもので、「異例かつ重大な脅威に対し」発動される。
「麻薬戦争への対抗」のはずが「貿易戦争」に
今回の場合は、フェンタニルという薬物の流入が止まらないから、隣国のカナダとメキシコ、薬物の生産拠点である中国に対して25%の関税を課すという。これまた「別件逮捕」ではあるまいか。「関税タカ派」と呼ばれるピーター・ナヴァロ上級顧問も、「これは”Trade War”ではなく”Drug War”だ」と2月時点で言っていたものだ。
しかるにその後の経緯を見ると、もはや「麻薬戦争」ではなくて単なる「貿易戦争」になっている。おとなしいメキシコは不問に付され、報復措置を取ったカナダばかりが矢面に立たされている。まるでいじめられっ子の予想外の反撃に対して、アメリカといういじめっ子がムキになっているかのようだ。
面白いことに、トランプ関税に対して中国、カナダ、EUは報復措置を実施し、メキシコや英国、豪州、そして日本は対抗措置を取っていない。どちらが賢明な態度かは、意見の分かれるところであろう。ただし食料やエネルギーを海外に依存するわが国としては、「やられたらやり返す」ことのハードルは高い。ここは上手にやらなければならない。
3月26日に公表された自動車関税は、大統領令をよくよく読むと面白いことが書いてある。すなわち第1期政権の2019年、トランプ大統領は自動車関税の導入を検討したが、結局は実施しなかった。今はそのときよりも状況が悪化しているから、安全保障上の理由から自動車関税を実施しなければならないという。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら