さらに、米韓自由貿易協定(KORUS)やアメリカ・メキシコ・カナダ協定(USMCA)についても触れられていて、「改定したけど十分な成果を上げていない」と評価している。しかし待っていただきたい。2019年には、日米間でTAGこと「日米物品貿易協定」が締結されている。そのことがスカッと抜け落ちているのである。
読者もすでにお忘れであろうか。日本側は当時の茂木敏充経済再生担当相、アメリカ側はロバート・ライトハイザーUSTR代表が、日米二国間で結んだ貿易協定である。
元はと言えば、アメリカがTPP(環太平洋パートナーシップ)から抜けたために、日本向け牛肉などの関税が豪州よりも高くなってしまった。
日本側も「別件逮捕」を仕掛けることは可能
かくてはならじ、とアメリカが「TPP並み」の条件を求めてきたのが始まりである。このとき日本側でコメが除外された代わりに、アメリカ側では自動車と自動車部品に対する2.5%の関税が残ったのである。
ただしFTA交渉というものは、互いに「関税ゼロを目指す」のが建前であるから、この協定は「さらなる交渉を行う」(Customs duties on automobile and auto parts will be subject to further negotiations with respect to the elimination of customs duties.)と明記している。つまり「アメリカの自動車関税2.5%は残しますけど、われわれはゼロにすることを諦めてはいませんよ」ということだ。ただし交渉はそこで終わり、後は「放置プレイ」となっている。
つまり日本側が2.5%の関税を認めたのは、いわば「保険」なのである。日米交渉が継続となっている限り、関税を上げることはできないはず。日本側としては、「TAG交渉はまだ終わっていないのだから、25%なんて許しませんよ」と言い返すことができる。すなわち日本側が仕掛ける「別件逮捕」というわけだ。
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