とはいえ、これはダラダラと対応してもいい、ということではない。客が写真を投稿したGoogle MAPは当初、ささやかな影響しかもたなかった。しかし誰かに「見つかる」と早い。消費者が潜在的にもつ情報発信力と、それに完全には対応しきれない企業側とのギャップは意識されるべきだろう。
食品の混入が起きる理由
さらに、これはチェーン展開にも課題を投げかける。それはチェーン店の品質管理システムの脆弱性だ。
全国で約2000店舗を展開するすき家において、各店舗の品質管理をどう統一的に維持するのかは重要な問題だ。さらにグローバル展開する場合は、他国の失敗が、違う国に波及しかねない。これはあまり指摘する論者はいないが、新たな危機管理の観点だろう。
というのも、これから国によって経済発展状況も違うし、建物構造や老朽化状況、害獣対策も異なる。衛生管理の状態も違う。この多様な状況において、グローバルに管理せねばならない困難な状況に企業はいる。
私は個人的に企業のサプライチェーンのコンサルティングに従業している。一般的に食品の混入が起きる理由は次だ。なお、私は次の理由ゆえに「仕方がない」といいたいわけではない。
1.「施設の老朽化と構造的な問題」:まずは、ゼンショーもいうとおり、老朽化した建物の隙間や破損箇所から害獣が侵入する場合がある。もちろん、これは、換気設備や配管周りの密閉性不足の場合もあるものの、賃貸物件の事情がある。
2.「衛生管理の問題」:清掃手順の不徹底や頻度不足がある。また、害虫・害獣対策はやっているものの、スタッフがその行為を形骸化してしまっていれば意味がない。さらに、スタッフの衛生教育やトレーニングが不足しているケースがある。
3.「雰囲気・文化問題」:これは上記の1.2.と重複するのだが、従業員が時間に追われているなどのプレッシャーがあれば、対策のすべてが簡素化される可能性がある。また、人手不足に陥っていれば、責任の分散や責任放棄もあるだろう。とくに、マニュアル遵守の文化が醸成されていないケースがある。
4.「サプライチェーンが複雑な問題」:原材料調達から店舗提供までがあまりに多段階であり、異物の混入が防止できない可能性がある。
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