同社は「すき家に関する一部報道について」とするプレスリリースで<喫食前の「みそ汁」に異物が混入しているとのご指摘をいただきました。その場で従業員も目視を行い、異物が混入していたことを確認しています>としているので、客の自作自演ではないとみなして私は論を進めたい。
<混入原因について調査を行った結果、「みそ汁」の具材をお椀に入れて複数個準備をする段階において、そのうちの1つのお椀の中に異物が混入していたと考えられています>ともある。
さらに発表が遅れてしまった理由についてはお詫びとともに<発生当初に当社がホームページ等での公表を控えたことで、事後の断片的・間接的な情報により多くのお客様に不安と懸念を抱かせる結果となってしまいました>とした。

客に健康被害は出なかった。ただし、まさに「事件」ともいうべき事態に発展した。
企業の真相解明とSNSが騒ぐタイミングのギャップ
まず、一般的にいえば、企業の危機管理と情報公開のタイミングを考えると、検討すべき点をはらんでいるといえるだろう。発生から2カ月かかったことは説明したとおりだが、その遅れたその事実そのものがSNS上での拡散の原因となった。
私はゼンショーが隠したいと思っていたとは思わない。むしろ、真相を究明後に公開しようと思っていたはずだ。ただし、ゼンショーは、すき家の事案発生後に、SNSでの拡散をきっかけに認めざるをえなくなった。企業からすると、この意図せぬ「沈黙の期間」が信頼度に影響してしまったのだ。
すき家は、先に紹介したプレスリリースで<当該従業員が提供前に商品状態の目視確認を怠ったため、異物に気付かずに提供が行われました>と説明している。では、なぜこの「目視確認」という基本中の基本がなぜ実行されなかったのか、疑念の声があがっている。
私からすると、これは酷な批判だ。
というのも、そう批判している人たちが働いている企業でも、無数のルール違反があるはずだ。「現場では、こうすることになっている。しかし、現場作業者が、なぜルール通りにしなかったのだ」と批判されても、瞬時に答えを出せるならば、事前にその対策を打たねばならなかったはずで、瞬時に答えられたら、それは事前対策を講じなかった悪しき企業のはずだ。
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