(第36回)猛烈な競争圧力下の中国企業と若者たち

勤勉すぎる労働者と抜け道の「陰の工場」

サプライチェーンを支配するのは、欧米のブランド業者だ。そのため、付加価値は中国に残らず、ブランド業者や小売業者に渡る。「濡れ手に3ドル」という言葉がある。中国で、1ドルで生産されたものが、小売業者に渡るときは4ドルになっていることを指す。これに比べれば、アップルが原価の2倍で販売することなど、良心的といえるかもしれない。

ところで膨大な数の工場が存在できるのは、豊富な労働力があるからだ。数だけでなく、勤勉で従順なことも必要だ。インドやアフリカと中国との、決定的な差がここにある。

アフリカでは、人々は、4時間働けばあとは昼寝する。しかし、中国では朝8時前に出勤し、真夜中か午前まで働く。それでも足りずに、残業する。職を求めて来る若者が必ず発する質問は、「残業があるか?」だ。あれば働く。なければ別の工場を探す。休日が多すぎると、休みのない工場に移る。彼らは言う。「ここには、休暇にきたのではない。カネを稼ぐために来たのだ」。

もちろん、劣悪な労働条件をいつまでも続けるわけにはいかない。世界的な多国籍企業としては、貧困工場で生産されているという評判が広まれば、ブランドに傷がつく。労働条件の改善は重要な課題だ。そこで、ウォルマートやアップルなどの発注側の大企業は、定期的に監視に訪れる。また、労働諸規制の強まりや労働組合の結成もある。

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