Suicaの牙城を崩すか? 専用カード不要で乗車可能、海外客対応とコスト削減で急拡大する鉄道タッチ決済戦略
日本では、国際ブランドの一角を担うVisaがこの動きを主導し、三井住友カードと連携して2018年から100を超える実証実験を重ねてきた。

ビザ・ワールドワイド・ジャパンのコアプラットフォームソリューションズ ディレクター 今田和成氏はこう語る。
「Suicaは日本特有の高速改札や定期券機能が強みですが、専用ICカードを作らなければ利用できません。また、海外発行カードを持って日本に来た方は紙券を買わざるをえないケースが多かった。一方でVisaなどのタッチ決済なら、そのまま改札にかざして乗れる。鉄道会社さんがカードを発行・在庫管理しなくていいという導入メリットも大きいんです」
訪日外国人の多くは自国発行の決済カードを携帯してくる。観光庁「訪日外国人消費動向調査」では、訪日外国人の決済手段として「現金(94%)」が最も高く、次いで「クレジットカード(70%)」があり、「交通系ICカード」は24%にとどまるという結果が示されている。クレジットカードに慣れている彼らが、改札に直接カードをかざして乗車できるのは大きな魅力だ。インバウンド対応の武器として、タッチ決済が注目を集めるのも当然といえる。
急拡大を続ける国内交通機関のタッチ決済導入
Visaの国内データによると、対面決済全体に占めるタッチ決済比率は2020年時点で1%ほどだったが、2024年には45%にまで伸び、日常の買い物シーンが劇的に変化している。こうしたトレンドが公共交通にも波及しているのだ。
2024年末現在、全国の33都道府県で100社以上の交通事業者がタッチ決済に対応しており、その数は年々急増中だ。2025年度末には42都道府県まで広がる見込みとされる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら