「人に頼るのはいいが、頼り過ぎてはいけない」けれど、その塩梅はどうやって見分ける? 禅僧が教える「ちょうどよい頼り方」のポイント

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そして、依存になっていないか確認します。

頼ることは、自分に足りない部分を補ってもらうことです。相手にすべてを任せるのではなく、自分もできるだけの努力をする姿勢が大切です。頼るときは、できるだけ相手の負担にならないように気をつかうべきです。

まず、何をどう助けてほしいのか明確に伝えましょう。「手伝って」と漠然と言うのではなく、「この資料を整理したいので、このような手順で一緒にやってほしい」と伝えることで相手も動きやすくなります。

相手の得意分野や興味のあることを頼むようにして、相手の状況や感情を配慮し、無理をさせないように心がけましょう。

また、相手への感謝を忘れないことが大切です。助けてくれる相手は時間やエネルギーを使っています。相手への感謝の気持ちを言葉や行動で示すのは当然です。

そして、頼りっぱなしではなく、自分も相手をサポートできる場面では積極的に助けることで、相互の信頼関係を築くことができます。

自分はこの状況の一部である

中国臨済宗の宗祖、臨済義玄禅師の言行録『臨済録』に「随処作主 立処皆真(随処に主となれば、立処みな真なり)」という一節があります。「どのような状況においても、自ら主体的に行動することによって、そのとき、その場所がすべて真実となる」という意味です。

私はこの一節に、常に当事者意識を持って「主人公」として生きることの大切さを読み取ります。

外的な状況に左右されることなく、他人任せにしたり逃げたりせずに、自分自身がその状況において主体的に関与し、自分らしく生きることを求められているのです。

人に頼る場面でも同様です。

相手に頼んだから、もう自分は関係ないという態度はこの教えに反します。あくまでも自分はこの状況の一部であり、他人に頼りながらも最終的な責任は自分にあるという当事者意識を忘れずに行動するのです。

その現実に向き合う姿勢を大切にすることが、禅の精神にかなった生き方といえるでしょう。

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