企業調査のプロが教える「危ない企業」の見分け方 有利子負債、ワンマン経営者…“10の危険信号”

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グラフとビルのアイコンにルーペをあてる男性
(写真:タカス / PIXTA)
コロナ禍の支援策によって落ち着いていた企業倒産が昨年、11年ぶりに1万件を突破した。ゼロゼロ融資の返済や物価高、金利上昇など、企業への逆風は強まるばかり。『週刊東洋経済』3月29日号の第1特集は「再来!大倒産時代」だ。
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信用調査会社の調査員が、危ない企業を見極める際に最も重視しているのは、ちょっとした違和感だ。年間数百社の決算書を分析して培ったノウハウに加え、粉飾決算に何度もだまされてきた経験があるからこそ感じるものがあるのだ。とはいえ抽象的なので、具体的に説明していこう。

調査員がまず確認するのは「現預金」だ。急場の資金対応力が最も重要だからだ。金額だけではなく、どうやって積み上げているかも重要なポイント。本業の儲けならいいが、借り入れで増やしているのでは意味がない。とくに危ない企業の場合、期末だけ潤沢に見せかけているケースもあるので注意が必要だ。

次いで「短期借入金」と「長期借入金」だ。現預金とのバランスをはじめ、業種平均などと比較して適正な水準かを見極める。そのうえで、担保となる固定資産と有利子負債とのバランスを見て、資金調達余力を推定するわけだ。

額面どおり信じる調査員は少ない

実は監査法人の監査が入らない中小企業の決算書を、そのまま額面どおり信じる調査員は少ない。なぜなら、粉飾決算をはじめとする不適切な会計処理を行っている企業が意外に多いからだ。

破産時の会社の財務状況を時価評価した清算貸借対照表を見ると、売掛金や貸付金、車両、工具といった科目で、決算書どおりではない企業が実に多い。ひどい企業になると、8〜9割も水増しして計上している。

そのため調査員は、売掛金や貸付金の相手先や、固定資産の中身などを細かくヒアリングして精査。マイナス評価分を純資産額から差し引いて本当の資産額を推し量る。そのうえで、債務超過に陥っていないか判断しているのだ。

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