株価下落でも「中国爆買い団」が減らないワケ 欧米旅行は急減し、日本に人気が集中

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中国人訪日客は、離日する空港の免税店でも買い物の手を緩めない(中国行きLCCの機内で)

同統計によると、中国人の平均滞日日数は5.6泊だ。「ゴールデンルート」と称する東京から入って大阪に抜ける(あるいはその逆)パッケージツアーは5〜6泊であることから見て、「中国からの日本ツアー客は1週間程度の滞在中、買い物に30万円くらい使う」ということになる。

1人30万円と聞くと「まぁ、そんなものかな」と思ってしまうが、これが「バス1台分の訪日客が1週間で1000万円以上消費する」とそろばんを弾くと、多くの人々は「中国人恐るべし」と反応するのではないだろうか。

ちなみに全訪日客に中国人が占める割合は40.3%。しかも人数は前年同期と比べ2.2倍に増えている。もっともこの統計は「株安」が起こる前の時期が調査対象。株安は、爆買いツアーにも影響を与えるのだろうか。

海外旅行需要は一気に冷え込み

LCC春秋航空の搭乗手続きを待つ利用客のほとんどは中国人だった(佐賀空港にて)

中国の株式市場は6月中旬以降、経済の減速に対する懸念などを受けて変調をみせている。上海総合指数はわずか3カ月ほどの間に4割も下落した。

株式売買高に占める個人投資家の割合は、日本の場合、多くても3割。それに対して中国では6〜8割に達する。株式投資に積極的な中産階級・富裕層が影響を受けたことは間違いない。その結果として、海外旅行需要の冷え込みにも繋がっている。

スペインで、旅行関係の調査を専門的に行うシンクタンク・フォワードキーズがこのほど発表した「上海株式市場の指数下落が与えた中国からの海外旅行需要へのインパクト(原文は英文)」によると、今年3月中旬から3カ月間の国際線航空券の予約数は前年同期比21%伸びていた。ところが、株価下落傾向が顕著となった6月中旬からの2カ月間は1%の伸びと、一気に減速した。

株価下落を受け、航空会社はチケット代の大幅な値下げに追い込まれている。中国の航空券販売サイトの数字を追ってみると、北京や上海発の米国行き、欧州主要都市行きは1500~1600元(3万〜3万2000円、税金や燃油サーチャージを含まず)と、前年の3分の1〜半分程度に落ち込んでいる。

これまで中国のアウトバウンド需要は右肩上がりで伸びてきた。しかし今年8月、国際線航空券販売数の前年からの伸びが8%減少とおよそ5年ぶりにマイナスに転落、9月はさらに落ち込みが広がり、14%の減少となった。10月と11月はそれぞれ13%、15%の伸びが予想されているものの、年末にかけては再びマイナスに落ち込むもようだ。

WTOによると、中国人が2014年、国外で使った旅行支出の総合計はおよそ1650億ドル(19兆7000億円)。しかし中国人旅行客の減少で、航空会社や欧米の有名ブランド各社にとって苦しい時期が訪れるとみられる。

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