中国での海外旅行需要が縮小しつつあることから、日本のインバウンド業界にもなんらかの影響を及ぼす可能性は否めない。ところがフォワードキーズは、「欧米など遠くに行くのをやめ、日本や台湾などの近場に行こうとする需要は堅調」と分析している。
たとえば、11月の国際線航空券販売数の予想を見ると、欧州行きが前年と比べて11%、南北アメリカが50%も落ち込んでいるにもかかわらず、アジア太平洋行きは35%増加と引き続き高い伸びを示している。つまり「中国で株価下落が起きたものの、当面は日本への爆買いの波は止まらない」と見るべきだろう。
株安でも減らない日本への爆買い団
最後に、中国からの爆買い団が多少の株安ではビクともしない理由を挙げておきたい。
中国では「モノに対する不信感」が広がっており、富裕層の間では、品質に不安がある国産品を買うくらいなら、高くても輸入品を買うという流れが顕著だ。
ただ、中国での輸入品の小売価格は極めて高い。たとえば日本製食品なら日本で200円のものが中国では500〜600円と2.5〜3倍の値段で平気で売られている。そこに襲ったの人民元の切り下げだ。中国人民銀行が株安を受けて元の切り下げを実施した結果、輸入品の小売価格は徐々に上がっている。
「高い輸入品を買うくらいならば日本に買い出しに行ったほうがいい」と考える人々が大勢いるのは当然のことだ。爆買いは一時期のブームというよりも経済合理性に基づいた行動なのである。
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