「罰ゲーム化している管理職」本当の理由と"企業ができる解決策"は何か?「人的資本経営の専門家」が解説

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では、具体的にどう取り組めばいいのか。ひとつ、私が関わった企業で「参考になる事例」を紹介したいと思います。

私のお客さまである企業のなかに、若年層の「エンゲージメントスコア」が明らかに低く、若手の離職率が経営課題になっている会社がありました。しかも、なぜスコアが低いのか、その要因が長らくわかりませんでした。

経営層が「問題の深刻さ」に気づかない理由は…

ところが、社内で「匿名アンケート」を実施したところ、同社のなかで「とくに中間管理層に、極端に上と下の両方から業務のしわ寄せがいっている」ことがわかりました。

そのため、とくに20代中盤の層は「この会社で将来的に中間管理職につきたい(ついてもいい)」と考える若手が10%を切っているという悲惨な状況に陥っていました。さらに、経営層がその課題に気づいていなかったことが判明したのです。

気づかなかった要因のひとつは、経営層がまさに中間管理職についていた時代のマネジメントの「常識」と、現代の若者が求めているマネジメントの「常識」がまったく違っていて、その会社では前者が横行して当然視されていたからでした。

いわゆる、かつてのマネジメントの常識とは、先ほども述べた「俺の背中を見てついて来い!」というやつです。

経営層を占める主な世代にとっては「常識」であり、違和感を抱きにくい。だから組織内にそのマネジメントが横行していても、それによる課題に気づかなかったのです。

一方で、若者は「心理的安全性」や「サーバントリーダーシップ」などを求めている。そして、中間層である管理職は上とも下とも別の価値観の調整を行いつつ、業務にも忙殺されている。

ここに大きなズレがあり、それが「匿名アンケート」によって明らかになったのです。

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