では、そのうえで同社は具体的にどう対応したのでしょうか?
「経営層の再教育」と「業務量見直し」をした結果
同社は、「経営層の再教育」と「中間管理層の業務量見直し」を始めました。
また、「マネジメントの常識」を刷新して、「サクセッションプラン」(後継者育成計画)も改めました。
さらに、中間管理層の仕事の魅力などを社内でピッチをしてもらうなど、多少なりとも中間管理層への恐怖じみた誤解を解く研修も開始しました。
そして、これらをすべて情報開示しました。広く社会に公表したのです。
このようにして、社員と経営層のズレを解消するコミュニケーションを徹底的に行いました。
すると、「変化」が現れはじめました。
社内の若手から見て、その企業の人事的なパイプラインが修復していくように見えます。「中間管理層につきたい」と考える若手の割合も、少しずつ改善に向かっていったのです。
このように「罰ゲーム化している」といわれる「若者が管理職になりたがらない問題」を解決するには、経営層が中心となり、「中間管理職の業務量」「若手社員と中間管理職の間のジェネレーションギャップ」をはじめとする会社の現状を正しく把握することが有効な第一歩になる――これまでさまざまな企業と関わってきた「人的資本経営の専門家」として、私はそう考えています。
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たなか・ゆづる / Yuzuru Tanaka
Unipos株式会社代表取締役会長。
1976年生まれ、北海道出身。1999年ソフトバンクのインターネット部門採用第1期生としてインターネット産業黎明期を経験。その後ネットイヤーグループ、コーポレイトディレクションを経て、2005年ネットエイジグループ(現ユナイテッド)執行役員。
現在は、国内外5000社以上の人的資本開示を読み込んだ「人的資本経営専門家」としても活動。
Unipos株式会社の前身であるFringe81株式会社(2017年東証マザーズ上場)の創業者であり、上場企業経営者として自社の人的資本経営に取り組んでいる。経営者としての実体験や、多数のクライアント事例、膨大な開示事例から導き出した、経営戦略と人事戦略を紐づけるための「人的資本経営フレームワーク(田中弦モデル)」を考案。
「10年後に日本は変わった、とみんなで乾杯しましょう」を合言葉に、精力的に日本企業の変革を推進する。
著書に『心理的安全性を高めるリーダーの声かけベスト100』(ダイヤモンド社)がある。
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