
新ジャンルでベストセラーを飛ばした鱗形屋孫兵衛
大河ドラマ「べらぼう」では、主人公・蔦屋重三郎の商売敵として、やや引き立て役となっている鱗形屋孫兵衛(うろこがたや・まごべえ)だが、実際はどうだったのか。
鱗形屋孫兵衛は、明暦年間(1655~1658年)頃に江戸の大伝馬町三丁目で創業した地本問屋・鱗形屋の3代目にあたる。現在でいうところの出版社の社長だ。
「鶴鱗堂」(かくりんどう)または「鶴林堂」と号しながら、当初は上方の浮世草子を江戸で売っていた。やがて浄瑠璃や菱川師宣の絵本などを扱うようになり、江戸有数の地本問屋として、知られるようになる。
鱗形屋孫兵衛の地位を盤石にした出版物が『吉原細見』だ。『吉原細見』は、遊女の源氏名や位付け、揚代などの情報が掲載された吉原のガイド本である。
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